六甲枝垂れ~自然を体感できる大きな樹のような地球的建築!~

「六甲枝垂れ」は2010年に、六甲山のランドマークとしてオープンした展望台です。この展望台からは美しい神戸市街を中心に瀬戸内海、明石海峡、大阪湾、大阪平野、天候が良ければ関西空港までが望めることができます。

「六甲山の上に立つ一本の大きな樹」がコンセプトのとなっているこの展望台は、枝垂れをイメージしたものとなっています。その建築は、まず建物の中心に板張りによってつくられた、高さおよそ10メートルほどある末広がりの円筒状のものがあります。そしてそれが、枝や葉を模した六角形のフレームによる網目状のドームによって覆われています。何とも独特な形状をしていますね。ほんとうにそのフレームが、まるで葉脈みたいにも見えますねえ。そのフレームや壁、床には、奈良県吉野の森で厳選されたヒノキが使用されています。内部に入ると、ヒノキの香りに包まれながら、フレーム越しに降り注ぐ太陽の光を感じられる空間になっています。枠の内部から空を見上げると木洩れ日に包まれているような感覚になりますね。また夜には、そのフレームに、1000万色以上の色彩表現が可能なLED照明による光の演出が施してあり、神戸市街の夜景とともに、幻想的な光景を楽しむことができます。

空間的には、らせん状のスロープが建物の内外にめぐらされ、周囲の景色を眺めることができる構成となっています。建物内部にはガラス越しに景色をながめることができるスペースや、四角く切り取られたフレームから庭が眺められるスペース、さらに薄暗い建物中心部内部からは、煙突の内部から見上げたような、頭上にぽっかりと円形に切り取られた開口を介して空をながめることができます。

また展望だけでなく、季節やその気候条件による、自然体感機能も備えています。六甲山の四季折々の自然を空間で体感できる試みがなされているんですよ!これがとても面白い!!

たとえばこのドームでは、気候条件次第で六甲山の気候が生みだす「樹氷」の現象を体験することができます.。これは空気中にある水が固体に変化する現象のことで、枝垂れをイメージしたヒノキのフレームは、それを着氷させるためのものとして考えられたものです。そうだったのか。あの装飾は単なる植物をモチーフにした意図をさらに超えた検討がされていたわけですね!そして冬の時期に気候条件がそろえばこのドームは氷の結晶を覆ったフレームになるというわけです!すごくないすか?「樹氷」っていうと何か例えば蔵王の山とかそういうところでお目にかかるものかと思っていました。

ほかにもありますよ!瀬戸内産の花崗岩でできた石垣が段々状に積まれたスペースには製氷池となっていて水が張られています.。六甲山の厳しい寒さによって池の水が製氷されると、それらは持ち運び可能なサイズに切り出されて展望台の中に運ばれます.。製氷池でつくられた氷をストックできる「氷室」があるんです.。冬に切り出した氷をその部屋に保管して、夏の熱い時期にこの氷で冷やされた空気が内部を冷やすと同時に、温かい空気を上昇させて煙突から排出させるという自然冷却システムを作り上げています。氷は池での自然冷凍なので、全て自然の力で循環させているわけですねえ。また、この煙突の下の方には、水盤が設けられベンチで囲まれていて、冬に蓄えた氷が溶け出した融氷水が作り出す風紋・水紋を楽しむこともできます。

これらは、建築家が考える「エナジースケープ」という概念によるものです。この設計の考え方は、その場所にある地形や気候を詳細に分析して、太陽熱や風力、水などの自然エネルギーを循環させた建築システムをつくるというものです。なのでこの建築はほとんど電力を使わず、太陽光、風力などの自然エネルギーを活用されています。単なるエコを超えたまさに地球的な建築と言ってもいいかもしれませんね!!

建築:六甲枝垂れ

設計:三分一博志建築設計事務所

建築作品を見た雑誌:新建築20109月号

建築のある場所:神戸市

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