ルイジアナ美術館~自然とアートが融けあう美術館~

フムレベックはデンマークのコペンハーゲンから北へ35キロほど行った静かで小さな町。その町にルイジアナ美術館はあります。この美術館は、1958年に建てられたモダンアートの美術館で、自然と建築が見事に調和したその姿から、世界で一番美しい美術館とも称されています。

美術館には世界的にも評価のある絵画や彫刻、インスタレーションなど多くのコレクションを収蔵しています。でもですね、ここでどの芸術品よりも美しいものは、丘の上から望むオーレスン海峡の青い海原です!この海を眺めながら、自然とアートに触れあうことができます。屋外に設置されているアート作品もあり、美術館のいたるところから外に出られます。芝生に寝そべったり、そこでランチを食べたり。美術館なのになんか自由で楽しそうです。

このルイジアナ美術館、もともとは邸宅で、それを改築して美術館にしています。自然と建築がすべてを表現できる場をつくるというコンセプトのもと、海や湖の景色、小高い丘などの起伏に富んだ地形を活かした建築となっています。それはもう建築という箱の中にとどまらないそれら全体の景観による美しさがあります。美術館の設計を手がけた建築家は、何度も敷地を歩き回って、建築にとっての理想の配置場所を検討したそうです。そしてこの美術館は、既存樹木を避け、地形に沿うように丁寧に時間をかけながら、つくられたわけです。しかも複数の建築家による設計により、1958年から8回もの増築が行われて今の建築にいたっています。

1856年に建てられた邸宅を改装した趣あるエントランスは、三方を別々の建物に囲まれたとても居心地のよい空間となっています。前方の建物は全面が蔦で覆われていて、歴史と共にあたたかみを感じますね。周辺の住宅街に溶け込んでいるかの様にさり気なく佇んでいます。そんな建物の小さな入口から館内に入ると、長い長い回廊が地下までつながっています!

美術館は、中庭をとり囲むようにそれぞれの展示フロアが回廊によってつながっています。なんだかまるでお寺の渡り廊下を歩いているような感覚になりますねえ。美しい景色に溶けこむガラス張りの回廊には、その空間の要所要所にアイ・ストップとなる彫刻作品が配置されています。 広大な庭園に点在している彫刻を見るためにつくられた回廊にもなっていますね!しかもこの回廊、至る所に出入口があり、外へ出て彫刻とふれあうことができます。地形に合わせて長く曲がりくねった回廊は地下まで続いています。展示室の閉ざされた空間と、自然の開かれた景観が、絶妙なバランスで調和しています。

アルベルト・ジャコメッティのコレクションとその展示空間も感動ものですよ!まあ、私がジャコメッティが好きってのもあるのですけれども。特に2層吹き抜けになっている全面ガラス張りの空間がもう最高!湖を望む窓を背景に彫刻が佇んでいます。大きなガラス窓から湖を望む背景がとても美しく、まるで屋外に広がる大自然を切り取った一枚の絵画のようです。そして大自然の前に彫刻がそっと置かれ、そのシルエットがより際立っています。はあ~、すばらしい!ため息が出ますね!!

カフェスペースはとても広々としていて、オーシャンビューのテラスからの眺めはもう最高です!晴れた日は対岸のスウェーデンまで見ることができます。内部はデンマークを代表する建築家ヤコブセンがデザインしたセブンチェアがカラフルに並んでいますね。海に近いカフェテラスの庭園には、アレクサンダー・カルダーの彫刻や、赤いモビールが展示されています。

美術館の地下には、ワークショップルームがあります。たとえば大人が展示室を見て回るあいだ、子供たちがお絵描きしたり、粘土したり。こうやって子供たちは、早くからアートにふれる機会にめぐまれていますよね。

いやあ、コレクションを最高の状態で見せるために考えられた空間構成とデザインに感動しました。そして緑豊かな自然環境を取り込んだ見事なプランニング、アートと自然との一体感にはほんと感動しかありませんね。 感動してばっかりです。アートの展示だけじゃなく、ミュージアムショップ、カフェ、子供たちのワークショップなど、訪れるすべてのひとたちが楽しめる工夫があって、歩いていて起こるいろいろな出会いにワクワクする建築です。地元の人達がランチに美術館に来たり、学生が読書に耽ったり。美術館って何もアートを鑑賞するだけじゃなくて、それら様々な活動ができる居場所でもあるんですよね!そしてそれを可能にしている空間がすばらしい!!う~ん建築最高!!!

建築:ルイジアナ美術館

設計:ヨルゲン・ボー、ヴィルヘルム・ヴォラートら

建築作品を見た雑誌:SD 19913月号、a+u 20084月号

建築のある場所:デンマーク

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