シャウラガー~鑑賞する倉庫!~

スイス・バーゼルの郊外にある「シャウラガー」は、バーゼル市内から市電に乗り、シャウラガー駅を降りると、まるで要塞かのような佇まいが目の前に現れます。

ここは現代美術を保管・研究・公開するための施設。美術館というか倉庫というかそういう施設なんですねえ。お話を進めながらもう少しくわしく説明してみますと、ここにはエマニュエル・ホフマン財団がコレクションした600点以上もの現代美術が収蔵されています。特徴的なのはその収蔵方法なんですが、インスタレーションや映像作品なども展示された状態で各収蔵庫に保管されているんですよ。

この建築はヘルツォーク&ド・ムーロンの設計により2003年にオープンしました。美術館を収蔵機能に特化した倉庫として取り扱い、研究者や鑑賞者は倉庫の中をさまよい歩くというコンセプトで作られています。これは「オープン・ストレージ」というアイディアなんですが、展示室に展示しきれない作品を収蔵庫内で研究や鑑賞などの目的で限定的に公開しているんですよ。直接アーカイブにアクセスを可能にしようというアイディアとなっているんですね。ちなみにシャウラガーはドイツ語で、 「シャウ=見る」「ラガー=倉庫」という意味だそうです。アート作品の展示と保存を目的として建てられた美術館、みたいな倉庫かな。ただしこの収蔵庫にアクセスできるのは、研究用途での閲覧のみとなっています。一般に開放されているのは、企画展及び常設展が開催される地下と1階だけになります。たしか年に大体4か月くらいしか開いていないんですよね。そういうわけでいわゆる普通の美術館とはちょっと違います。

建築は周辺が工業地域という立地の中でひときわ異彩を放っています。インパクトありますね。まあ、ぱっと見、美術館には見えませんね。外観は正面ファサード以外の外壁は土色をしています。この特徴的な粗い土壁のような外観は、建設時に発生した土砂を混ぜたコンクリートにより仕上げられています。スチールのメッシュでつくられた入口の扉も、外壁に合わせるよう表面がボコボコしていますね。エントランスや展示室などで、部分的にこの形態を切り取るように土壁面を用い、そこから内部にむかって白色に塗装された壁面が現われています。エントランスのある一面だけが白く塗られ、道路側に向かって開かれています。荒々しい表面と急に真っ白な壁の変化が緊張感をつくっています。その他壁面は美術品保護の目的から窓がほとんど設けられてなく、事務関係の部屋に細長いスリット状の窓があるのみです。入口にある2つの大型スクリーンには展示中プロジェクトの映像が流れます。門のような役割をしている小屋がまたかわいらしい。建物本体は大きなボックスですが、都市と接するところに小さな家型の建物を置いています。この家型の建物には、コミュニケーションツールという役割もありそうですよね。

内部は白い壁とバー照明を並べたコンクリートの天井で統一されていて、廊下と内部を仕切る壁以外は基本的にすべて可動式となっています。作品のボリュームや形態に合わせて、収蔵空間を様々にゾーニングできる仕組みとなっている。2003年の竣工以来、現状の600点以上の作品がすでに収蔵されていますが、収蔵フロアのごく一部しか専有していないとのこと。おお、キャパすごいですね。でもスケール感とは反対に繊細なディテールが随所に見られます。そんな画期的なコンセプトによる美術館、いや倉庫か。今後どのように展開して成長していくのか。期待していきたいですね!もっと一般の人も見れる範囲増やしてほしいな~。

建築:シャウラガー

設計: ヘルツォーク&ムーロン

建築作品を見た雑誌:a+u 2011 1月号

建築がある場所:スイス

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