アリゾナ記念館~海に浮かびながら記憶をとどめ、平和を願う白亜の建築~

アリゾナ記念館は、アメリカのハワイ州オアフ島にある慰霊施設です。1941127日(ハワイ時間)に起きた日本軍による真珠湾攻撃で、撃沈され乗組員のほとんどが犠牲となった戦艦アリゾナ及びその乗組員を追悼し、その出来事を記憶にとどめておく施設として1962年に建設されました。

1966年にはアメリカの国家歴史登録財に登録され、1980年にはアリゾナ記念館ビジターセンターが建設され真珠湾攻撃の資料を展示しています。

戦艦アリゾナは現在も海中に沈んでおり、そして戦没者も海の中に眠っています。そして沈没から70年以上たった今でも、船体からは重油が海面に浮上し続け、そのままの状態が残されています。それはアリゾナの涙とも呼ばれています。この沈没した戦艦アリゾナは1989年にアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されました。施設は戦艦アリゾナの真上に建設されています。記念館の上からは沈んだ戦艦が見えます。アリゾナ記念館には毎年100万人以上の人が訪れていますが、アリゾナ記念館ビジターセンターとアリゾナ記念館へは、アメリカ海軍が運行するボートのみのアクセスとなっています。

沈んでいる戦艦アリゾナ本体とは交差するような角度でその上方に建設されています。この記念館の設計はハワイに住むオーストリア系アメリカ人建築家アルフレッド・プライスが手がけました。建築家は第二次世界大戦中、敵国であるオーストリア出身であったためにホノルル沖にあるサンド島に収容されていました。アメリカ海軍は建築家に対し、戦艦の上部に200人程度を収容することができる記念館施設の設計を要請したという経緯のようです。

戦艦アリゾナをまたぐように建てられた記念館の外観は白いシンプルな外観です。長方形の形をした長さ56メートルほどの建物は、側面から見ると両端の部分が高くなっていて真ん中がくぼんだ独特の形をしています。豆腐がゆがんだようなかたちにも見えますし、もしくは白いボリュームが風によって押しつぶされたようにも見えます。中央部はたるんで、両端はしっかりと持ち上がっているのは、開戦前のアメリカ人の高い誇りと攻撃によって突如折れたアメリカ人の心、そしてそこから戦争を通して再び終戦後にアメリカ人が持ちえた高い誇りを表しているとのことです。白くシンプルな装飾のないデザインにしているのは、ただこの建物が悲しみの象徴ではなく、これを見た人々にそれぞれの反応や感情を感じてもらいたいための表現とのことです。アリゾナ記念館の一番奥には、真珠湾攻撃で戦死した戦艦アリゾナの乗組員全員の名前を大理石の壁に刻んだ慰霊スペースがあります。

この建築を見て、戦争というものが人々にとっていかに悲しいものなのか、そういうことを感じました。これからの平和をただ純粋に願いたいと思います。

建築:アリゾナ記念館

設計:アルフレッド・プライス

建築作品をみた雑誌等:日経アーキテクチュア

建築のある場所:アメリカ、ハワイ

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