デンマーク国立海洋博物館~波止場跡地と建築の対比からなる新たな場の再生~

デンマーク国立海洋博物館は、シェークスピアの悲劇「ハムレット」の舞台として知られるヘルシンゲルの街、そのクロンボー城の近くに建てられています。この建築を設計したのは、ここ数年の間に国際的な建築家の一人として知られるようになったビャルケ・インゲルス。彼は「BIG」の呼称で知られている自身の設計事務所、「ビャルケ・インゲルス・グループ(Bjarke Ingels Group) 」を設立し、現代の建築に大きな影響を与えはじめています。インテリアからはじまり都市プロジェクトまで、様々なカタチで見られるその活動は、常に建築やデザインに関する新たな方法を提案しています。

さて、この海洋博物館、既存の波止場跡地をリノベーションした建築なんです!およそ60年以上もの歴史を持つ波止場には、出入口のみ手が加えられています。出入口以外にこの建物の目印になるものはみあたりませんね~。はい、それもそのはず。なぜなら、この博物館は波止場として使用されていた空間を囲みながら、その空間を完全に地下に設けているからです。すぐ近くにある世界遺産クロンボー城があるため、このように景観をこわさないように、もともと船舶の製造や修理などに際して用いられる設備、通称「ドライドック」だった地下の場所につくられたわけですね。しかしながら、地下につくられているにもかかわらずあまり暗さをあまり感じさせない空間になっています。

博物館の空間は、おもにガラスからなる幾何学形態の構造物からなっていて、空間構成そのものはとてもシンプルです。全体はスロープで構成されていて、波止場の外側に展示室、そこを渡すガラスのブリッジ状の空間には、レクチャースペースなどがあります。このガラスのブリッジが空間による移動の空間の演出が大きな印象を与えていますよね!ドライドックの壁はそのまま生かされていて、既存の空間を余すことなく使い切っている感じがしますね。工業地帯の記憶を伝える空間が保存されながらも、その場所がパブリックな空間として再活性化されています。土地や波止場そのものが持つ独特な雰囲気と、新たに創出された空間との間に生まれている対比が美しいですね!環境に考慮しながら、既存のものを生かし、新しいものの価値を生み出すという発想が、今の時代の建築を生み出すものであることがこれらの表現でびしびし伝わってきましたよ。

そんな社会、環境、歴史の要素への必要性にパワーあふれる魅力的な建築表現でこたえくれるビャルケ・インゲルスはじめ「BIG」のヴィジョン。このの新しい世代の到来はこれからの建築にまた期待をふくらませてくれますね!

建築:デンマーク国立海洋博物館

設計:ビャルケ・インゲルス・グループ

建築作品をみた雑誌:a+u20142月号、20165月号

建築のある場所:デンマーク、ヘルシンゲル

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