リアス・アーク美術館~方舟のように伝える地域の文化・美術、そして記憶~

この建築は、気仙沼市中心部から南西に2.5キロ、気仙沼湾を見下ろす丘陵地帯の一角にあります。「リアス・アーク」という名前なのですが小高い丘の上にあります。アークは「方舟」のこと。ノアの方舟のように地域の文化遺産を収集して後世に伝えようと、1994年にオープンしました。建物は「空から舞い降りてきた船」をイメージし、建築材料にアルミや漆喰を使った当時の先端技術と漆喰壁などに見られる伝統技術が融合したユニークな建物のかたちをしています。まるで建築自体がアートのような雰囲気を持っていますね。

この美術館では、圏域に存在する文化資源を見つめなおし、「食」を中心に地域の歴史、民俗資料を紹介する「方舟日記」という常設展示のほか、東北・北海道の作家の作品を中心に美術展示をしています。美術を取り扱いつつも、地域の民俗資料も取り扱っているのが何だかおもしろいですよね。そのほかにも、多様な企画展を開催するギャラリー、創作室や映像室、レストラン、ショップなどの複合機能も備えています。

建物外観を見ると、まず目に付くのが屋上に立っている宇宙探査機みたいなピンク色の構造物ですね。なんだあれは?モニュメントみたいだ。そんなことを思って眺めながら3階に架けられたブリッジの下にある屋外展示場を通り2階エントランスから内部へとアプローチしていきます。エントランスホールは吹抜けが建物の中心を一直線に突き抜けていて、その軸線上に受付やビデオブースなどが配置されています。その先には、建物から飛び出した全面ガラス張りの展望室が設けられています。そこからは気仙沼の町やリアス式の海岸が風景を眺められるようになっています。このホールから展望室へと続く空間いいですねえ。トップライトから入り込む光もまたいい感じです。美術館は塑像的な自由曲面でもつくられています。そこに斜めの柱や空中廊下があったりします。外壁はアルミ合金で、一部、曲げ加工を行う造船技術により造られています。屋根は船の底みたいになっています。 船底天井です(笑)。う~んいろいろな要素があって理解はできませんが何かいいです。この建築空間。得体の知れないパワーを感じます。はい。

そしてもうひとつ、この美術館にはとても大事な常設展示があります。リアス・アーク美術館は2011311日の東日本大震災により被災しています。その後、学芸員らがおよそ2年間にわたって震災被害記録調査活動を行ってきました。その成果を震災を後世に伝えるため、津波被害と地域文化の関わりを震災資料とともに「東日本大震災の記録と津波の災害史」と題し、記録資料等を公開し、展示しています。私もこの建築を訪れたときにこの展示を拝見しました。言葉にならない数々の資料を目の当たりにして、この事実を忘れないように心に受け止めました。もしこの建築を訪れた際には是非見ていただきたいと思います。

建築:リアス・アーク美術館

設計:早稲田大学理工学部建築学科石山修武研究室

建築作品を見た雑誌:新建築199410月号

建築のある場所:宮城県気仙沼市

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