町-building~場所の記憶を残すための住宅~

この建築は、築40年の3階建てテナントビルを住宅にリノベーションした計画です。敷地は国道に近い中心市街地で、古いビルや商店が立ち並ぶ通りにあります。そこに40年前に建てられた鉄骨造ビルは奥行きがあり間口が狭い、まるでうなぎの寝床のような空間です。お施主さん両親がご商売をしていた頃に建てられたもので、1階駐車スペースは広く、階高も高い。自社ビルといった建物ですね。

建築家は既存建物の調査を行い、新築かリノベーションかという選択の中で、リノベーションする方法を提案しました。その理由とは、既存建物が鉄骨ラーメン構造でありプランニングの自由度が高く、解体費用を耐震補強に回すことで、コストを抑えながら要望にあったものを提供できると考えたからとのこと。さらにそうすることで求められていた床面積の広さを最大限確保にもつながっているとのことです。もちろん今までの建物としての記憶を継承していくことも大きな動機となったのでしょう!

40代の夫婦でお子さんが2人いるお施主さんの要望は、光や風が入ってくる空間、静かな環境、家族の気配が感じられること。既存の建物は1階が駐車場、23階にテナントが入っており、南面採光のみの開口部が少ない暗い空間でした。

そこでまず建築家は、1階駐車場はブレースで補強し、23階は屋根のない中庭を配した提案をすることで、南北を分節しました。23階を中心にリノベーションし、1階や塔屋などは費用をかけないようにコストをコントロールしながら計画するというのがまず基本方針。そして既存の枠組みを活用しながら、外部を部屋としてとることで、その中庭を介して水まわりや北側の部屋にも光や風を取り込み、2層でワンルームのような階ごとの上下のつながりをつくっています。中庭は森をイメージした空間となっていて、これを介して、家族の動きなどが雰囲気として伝わる空間になっています。内外に仕上げられたラーチ合板が内外を一体化する雰囲気をつくりあげていますね!南側は、外壁の層をつくることで前面道路からの緩衝空間としています。外部吹き抜けみたいな空間ができています。またリビングにも吹き抜けをもうけ床面積を抑えています。既存の直線階段は、住まいのスケールにあわせ、段差を付けながらスキップフロアのようにデザインすることで、空間を住宅のスケールへと落とし込んでいます。 既存の空間に中庭や吹き抜けを挿入するというシンプルな空間の操作で新たな居場所の快適性をつくりあげていますね!

今までの建て替えを繰り返す消費型の流れから持続可能なストック型へ!このリノベーションによって周辺にある40年前の建築群に対して、新しい価値をつくり出しながら再生と場所の記憶を残すという方法があることを知ってもらうきっかけになったらいいですね!!

建築:町-building

設計: UID

建築作品を見た雑誌:新建築住宅特集20135月号

建築のある場所:広島県福山市

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