北ユトランド美術館~光を探求したあたたかな建築~

この建築は、デンマークにある唯一のアアルト作品です。1958年の設計コンペで勝利し、1972年に完成したこの美術館、けっこう長い年月がかかっているんですね~。設計は、妻エリーサ・アアルト、そして以前彼の事務所で働いていたデンマーク人建築家、ジャン・ジャック・バルエルとの共同設計による作品となっています。

建物外観は白い大理石で覆われていて、そのグリッドによって水平、垂直性が表現されています。そして内部空間に入ると、アアルト建築のもつ有機的なフォルムと、素材のあたたかみを体感できます。特に天井に配置された円形、矩形のトップライトやハイサイドライトからなる様々な採光手法を試みているのがその形態からわかります。

美術館は、傾斜地となっていた敷地に対し、メインストリートからの直接的なアクセスが設計要件として求められていました。アアルトはその敷地特性からなる高低差うまく利用し、アプローチレベルが展示空間、展示大ホールなどのある主要階としながら、地下にピロティとなる駐車場設けました。そして隣接した公園には彫刻観賞のための屋外展示、そして屋外劇場を提案しました。

展示空間は大きく分けて二つの種類の空間から成り立っています。アアルトはその季節によって変わる太陽光の日照時間、高度を考慮しながら、南面からの入射角度、光の拡散度合いを綿密に検討しています。そしてその自然光と人工照明との絶妙なコンビネーションによって、展示室は光あふれる気持ちの良い空間となっています。また展示壁は可動式となっていて、あらゆる展示に対応した、フレキシブルな空間となっています。

主要階の北東側に位置する水平に広がる展示空間がまず1つ目。天井にはスカイライトと一体化し、二方向へ光を反射させる細長い反射装置が設置されています。それは南東から北西方向にのび、5列平行にならんでいます。その奥には、4方向へ光を反射させる反射装置が直交するように3列設置されています。それぞれの方位から採りこまれた光は、色や強さが微妙に異なり、空間をやわらかく演出しています。

2つ目の展示空間は、北西側半分にある、3つのガラスボックスが重なり合って形成されている大展示ホールです。ここにも天井部分には、独特な断面形状をした反射装置が設けられています。芝生広場にある北西側の垂直面、及び両側の大きなガラス面からは、たくさんの光が内部に入ってきます。一方で南東側は、長いスパンで架けられた水平な梁の間から入り込む光、それが、反射装置や梁にぶつかり、ホール内部に反射拡散して降り注がれています。

この美術館は「光の建築」とも呼ばれています。それはアアルトの光に対する飽くなき探求によるものからです。北欧での暗くそして長い冬を乗り越えるため、アアルトが長い設計経験によって培われてきた採光に対する考え方が集積して表現された建築であることがわかりますね。

建築:北ユトランド美術館

設計:アルヴァ・アアルト、エリーサ・アアルト、ジャン・ジャック・バルエル

建築作品をみた雑誌等:アルヴァ・アアルト光と建築(petit)、a+uマスター・オブ・ライト

建築のある場所:デンマーク、オールボー

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