ヒラルディー邸~メキシコの風土から生まれた色彩による幻想的な住宅空間~

メキシコシティは、標高2200メートルにあるラテンアメリカ最大の都市。その都市の喧騒を逃れ、郊外へ向かうと、ルイス・バラガンが作った最後の住宅建築であり、晩年の最高傑作、ヒラルディー邸があります。ピンク色の外観が、メキシコの青い空に映えていますね!この住宅は、デザイナーであるフランシスコ・ヒラルディー氏の長年にかけた熱意のこもる依頼によって建てられました。現在はヒラルディー氏の親族の方が住んでいるとかで一部が一般公開もされています。そこには住宅とは思えないほどの幻想的な空間が存在しています!!

重い木の扉を押して中へ入り、吹き抜けの玄関ホールを抜けてその先に歩み進めると、息を呑むような光景が訪問者を出迎えてくれます。そのホールからダイニングへ続く廊下は、壁も天井も鮮やかな黄色に彩られています。これらは庭に面した縦長の連続窓に黄色いすりガラスによるもの。そのスリットからは幻想的な光が降り注ぎ、長い廊下を黄色の光に染めながらダイニングへと導いていきます。

その黄色い光のトンネルの先には、青い壁が待っています。さてさてこの先に何が待っているのか。そのわくわくさせる期待感、これがバラガンの仕掛けた空間の魔法ですね!そしてたどりつくダイニングの空間には圧倒されます!現れたのは、まるで海のように水がきらめくプールのあるダイニングです。ダイニングのはずなのに、真っ青なプールが出迎えてくれるって何?!壁は白、柱は赤です。その赤や青の壁にトップライトから限定的で演出的な自然光が差し込み、その光が浮かび上がるという印象的な空間です。光の角度、水面とその水の深さ、色彩、それらが全て計算された非日常的な空間がそこにはあります。トップサイドライトから差し込んだ2方向の光は水面で交差して青い壁面を切り裂きます。ドラマチックですね~。プールに射し込む光が時間によって変化し、水のゆらぎが光をゆらします。プールの深さは深いところで1.4メートル程度あります。実際にここにあるダイニングテーブルで家族全員で食事をしたりもするようです。もちろん泳いだりもしているそうですよ!ちなみに昔、シャープAQUOSCMでこの空間が撮影されていましたね。

ダイニングは中庭に面していて、そこには大きな木があります。この木は春に紫の花が咲くメキシコの桜ともいわれるジャカランダの木です。ちなみにバラガンはこの土地の中心に生えたこの木を切らない。その条件を約束に住宅の設計を引き受けたそうです!壁はジャカランダの花の紫と同じ紫そして白、奥にはピンクの外壁。ピンクはブーゲンビリアの色。バラガンの建物の色はメキシコの花の色がモチーフになっているとも言われています。これらの色とメキシコの空の青、そして木の緑、そのコントラストにやられてしまいます!木は春になると壁の紫と同じ色になり、同時に床に落ちた花びらで、床一面も紫色になるそうです。木と壁、そして床一面が彩られた光景はそれはそれはとても美しいでしょうね!

建築:ヒラルディー邸

設計:ルイス・バラガン

建築作品を見た雑誌等: ルイス・バラガンの建築(TOTO出版、著:斎藤裕)、カーサ・バラガン(TOTO出版、著:斎藤裕)

建築のある場所:メキシコ

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