所沢聖地霊園礼拝堂・納骨堂~自然要素の造形から生まれた祈りの空間~

この建築は、所沢市の霊園につくられた礼拝堂・納骨堂で、西武新宿線航空公園駅から東へ数キロほど行った、所沢の市街地近郊にある緑豊かな場所にあります。その霊園全体を取り囲んでいる雑木林、そして大地の造形やコンクリートの壁によって、この礼拝堂と納骨堂はやさしく覆われながら、明るく静謐な祈りの空間をつくり出しています。

アプローチからもう魅力的ですよね。霊園正面入り口に立つと、遠くには礼拝堂の屋根上部にある灯りがむかえてくれます。アプローチからのなだらかな芝生の斜面は礼拝堂まで続いていて、その下は納骨堂となっています。盛土され、芝生で覆われたなだらかなその緑の斜面の向こうには、片流れの銅板葺きの屋根が見え、その頂き部分にはガラスのキューブが目にとまるような高さにもうけられています。そのキューブの中には照明がおさまっていて、礼拝堂の採光のためのトップライトにもなっています。高さは抑えられていて、霊園の中にひっそりとたたずみながらも、大地が少しずつムクムクっと盛り上がった頂点が光輝いている。そんな印象を受けますね。

入口の鉄を捻った門扉を開いて、大地からそそり立つ芝生の丘にむかって折れ曲がったペーブメントを歩いていきます。泉を通り、大地が裂けるように立ち上がる白いコンクリートの擁壁を進んでいくと、そのアプローチの先に、礼拝堂と納骨堂の二つのエントランスが、木と鉄で区切られています。

納骨堂への鉄の扉はさびた鉄扉で不規則に引き裂いたような穴があり、取っ手はその鉄扉自体がめくり上がったささやかな装飾のある意匠になっています。その扉を開けて進むと、平面的に手のひらをひろげたような、襞のような納骨室が設けられています。その先にはH鋼フレームに一枚ガラスがはめこまれた透明な境界線としての壁。その奥にはスロープ状に造成された大地と松林が見えます。まるでその先は亡くなった方々がいる天国かのように思えます。

木の扉を開けて礼拝堂内部へ入ると、ガラスのトップライトと奥に設けられた開口部から採り入れられている光がむかえてくれます。集成材の小屋組からなる天井、はやわらかさやあたたかさを感じます。彫刻的に切り抜かれた厚みのある壁の開口部は、様々な色のガラスがはめこまれています。何かコルビュジェのロンシャン礼拝堂みたいですね。降り注ぐ光によって、空間は厳粛な雰囲気がつくりだされています。

シークエンスに立ち現れるランドスケープ、礼拝堂内部に差し込む光とその空間、これらはご先祖様が静かに眠る場所の力を高めているような気がします。自然環境と建築が一体のものであるという思想のもと、大地や水、風や光などの自然要素からの造形や、人の手が触れるディテールがいたるところまでデザインされていて、静かな感動を建築におぼえましたね。

建築:所沢聖地霊園礼拝堂・納骨堂

設計:早稲田大学池原研究室

建築作品を見た雑誌等:新建築197312月号

建築のある場所:埼玉県所沢市

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