ゲーツ・ギャラリー~光、視線、人、素材によって構成された静謐な美術空間~

この建築は、ドイツのミュンヘン東部近郊にある閑静な住宅地にあります。道路沿いの塀越しに敷地のほうを眺めると、その建築の上部があ見えます。この建物は、オーナーであるゲーツ氏自らのコレクションを展示し、一般に公開するためのギャラリーです。ギャラリーはゲーツ氏の自邸と同一敷地内にあります。芝生と樹木が生い茂る長い敷地の中に、南東側にギャラリーがあって、北西側中央寄りにオーナーの自邸があります。

建物の外観は、上部から、ガラス、木壁、ガラスの3つの素材要素によって成り立っています。静謐感あるシンプルな外観ですね。シンプルなファサードが広い緑の敷地に建っている姿は何だか凛として見えます。

建築の構成は、地下と1階部分は鉄筋コンクリート造となっていて、地面から立ち上がっているガラス部分は1階オフィスと地下ギャラリーの吹き抜けとなっています。鉄筋コンクリート造の層は、下半分が地中に埋められていて、ガラス張りの上半分が地上にあらわれているわけです。そしてその上は木造となっていて、2階がギャラリー、そしてその上のガラス部分はハイサイドライトとなっています。ぱっと見、地上3階建てだと思ったら2階建てなんですね。

1階の入口近くに設置されたエントランスホールから2階に上がっていくと、外からは3階建てに見えていたそのボリュームが天井の高いギャラリーとなっています。建物の上端に帯状にめぐらされたすりガラスの水平開口からは、4メートル下の展示スペースへと拡散したやわらかい自然光をおとしています。

地下も2階と同じような天井の高いギャラリー空間となっていて、1階のエントランスの後ろの空間は床がなく、吹き抜けとなっています。その1階にあるハイサイドライトから2階のギャラリー同様に自然光がやさしくおちてきます。1階部分、つまり上下2つのギャラリーの間には、2本の鉄筋コンクリートでできた四角い筒ボリュームが併置されて、地下のギャラリーから見ると空間が吊り下げられているようになっています。大きいほうがオフィスと受付ですね。2階部分と違うのは、ハイサイドライトからの自然光がそのボリュームによって途切れる部分もあって、地下らしく暗い闇の中にも照明光と自然光が照らされ、陰影礼賛的な空間になっています。また1階部分の半透明のすりガラスの背後には人のシルエットがうっすらと見えます。建築の内外と上下の関係性が、自然光と視線、そして人の動きによってつながっています。

床材や構造体であるコンクリートの上には樺の木製パネル張られています。冷たい表情をもつコンクリートの素材を木の仕上げ材が暖かさを与えています。そして芝生庭に植えられた白樺と同じ素材を用いることで、周辺環境と内部空間をがゆるやかに関係しあってつながっているようにも感じますね。

シンプルな建築なのに、素材や光、空間の配置の吟味が伝わって、深い空間がつくられているなあと感じました。スイスの建築家がつくる建築って日本の風情みたいなものがあるような気がしますね。

建築:ゲーツ・ギャラリー

設計: ヘルツォーク&ムーロン

建築作品を見た雑誌:a+u ヘルツォーク&ムロン

建築がある場所:ドイツ、ミュンヘン

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