プレゲンツ美術館~静謐な素材の構成から生まれた光の塊~

オーストリア、ドイツ、スイスの国境が湖上で交差するボーデン湖。そのオーストリア側湖岸にあるプレゲンツは穏やかな旧市街の街並みがすてきな場所です。プレゲンツ美術館はそのボーデン湖のほとりにあり、街並みと湖の輝きとともに美しい風景をつくっています。

建築はコンクリートの構造体にガラスで覆われています。同一の大きさのブラストされたガラスパネルが左右で重なりあい、上下方向に微妙に角度をつけながら連続して設置されています。それはなにかまるで魚のうろこ、もしくは羽毛で覆われているかのようです。そんな特徴的な外観をしています。このガラスによる外観、見る角度によってガラスとガラスの隙間の見え方が異なります。そのため光の反射の仕方も一様ではなくて、全て単一の物で覆われているにもかかわらず、建物に柔らかな表情を与えています。うつろいゆく空や光、湖の風景、光、それらをうつしこみながら、変わりゆくその建築の姿はとても豊かです。外側に内部活動がかすんで表出しているのもまたいいですね。夜になるとガラスから光がもれ、街に灯されるランプのような輝きを放っています。何か宝石にもみえますね!建物はガラスによるダブルスキン構造となっていて、内外との調和、耐候性、太陽光の調節、断熱などの機能を併せ持っています。

内部の展示室は、展示作品を静かに鑑賞することのできる空間になっています。地上部の各階はほぼ同じ平面のかたちとなっています。展示空間は各階の床を支持する3枚のRCによる耐力壁によるグレーと、ガラスによる乳白色、黒い家具などで構成されています。ミニマルで抑制の効いた空間です。いやあ、クール!その無駄な装飾を排除した空間に展示作品がはえますね。1階の展示室は壁面からガラスを通して自然光が取り入れられています。2階より上の展示室は、それとは対照的に壁面には開口部はありません。そのかわり天井のガラスパネルを通して自然光を取り入れています。階段も同様ですねー。最上階展示室の天井裏に1層分の空間をとり、ハイサイドライトから入り込む光を展示室のガラス天井に落としています。壁に開口部が無くても明るさは保たれ光に満たされているというこの矛盾した状態が不思議な雰囲気をつくりあげていますね。しかも透明なガラスでなくブラストされた乳白色のガラスがよりその空気感を高めています。ガラスの使い方によって空間ってこんなにもちがうものになるんですねー。

美術館前の広場にある別棟のカフェ・管理棟もズントーによる設計です。バーやミュージアムショップなどが入っていて、鑑賞後に一息つける場所となっています。広場に向いて開いていて、街並みを形成する一部になっていると同時に、本棟に美術館の純粋な機能を集約するため役割を担っています。この存在によってよりこの美術館の存在感が高まっているんですよね。

この光のかたまりのような空間からなる、素材の繊細な存在感。この本質的なもの必要なもののみのそぎ落とされた空間は彼の建築の特徴でもありますよね。それぞれのディテールもとても考え抜かれたものになっていますね。さすがズントー建築!やっぱすごいわこの人!!

建築:プレゲンツ美術館

設計:ピーター・ズントー

建築作品をみた雑誌:a+u ピーター・ズントー

建築のある場所:オーストリア、プレゲンツ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする