キンベル美術館~光のあり方をありのまま表現した空間~

キンベル美術館はアメリカ・テキサス州フォートワースにある、建築家ルイス・カーンの代表作であり、もしかしたら最高傑作かもです。1972年に完成したこの建築は、収蔵品を保護するため美術品に自然光が極力当たらないように考慮された美術館が数多い中において、キンベル美術館ではトップライトから降り注ぐ自然光の中で美術品を鑑賞することができます。

建物の骨格はまるでかまぼこのようなヴォールト形状となっています。その曲線はサイクロイド曲線からなっていて、123×100フィートの建物が6×3列=計16本 に並び、前庭を囲むように配置されています。いやあ、この力強い形式による反復が無骨に感じますね。一瞬昔から存在する工場か倉庫なのではないかと思わせます。そのヴォールト形状の建物の多くの用途は、展示室、オーディトリアム、図書館となっています。

そして、そのうち建物2本はアプローチの役割を担っています。アプローチから美術館を見ると背景には空しかなく、建物のスカイラインがくっきりと見えます。ヴォールト屋根の下のポルティコに入ると水庭が見えます。水面に低い角度で射し込む西日が反射して、外にあるヴォールト内部、そしてスリットを通じて、天井に光が届ききれいにゆらめいています。この形式的な建物の形状のなかからくりひろげられるアプローチがすばらしいですね。形式のなかに垣間見える自然要素が美しいんですよ!

樹木が並んでいるここちよい前庭を抜けて、メインエントランスから内部へ入ると、右側にミュージアムショップ、奥に光庭の彫刻が見えます。ヴォールト屋根の中央にスリットが設けられていて、そこから自然光を取り入れています。その差し込む光をやわらかくコントロールするために、スリットの下には反射器具が湾曲して設置され、拡散光が内部空間に入るように調節されています。人工の照明がなくても十分に明るいですね。拡散光を受けた銀色のヴォールト天井が、視覚的にも軽やかに感じます。その他可動壁のシステムや設備のおさめかたもおもしろいですね。北の方へ進んでいくと、展示空間、カフェが見えてきます。キンベル美術館はこのカフェの料理も有名らしいです。カフェの奥にはオーディトリウム。光庭が3つほどあり、そこから見える緑が気持ちいいですね~。様々な光の現象が時間とともに、変化していきます。この建築は光という要素を空間にありのまま表現しているような気がしました。

キンベル美術館の東隣には、安藤忠雄氏による設計で2002年に完成しましたフォートワース現代美術館が建っています。Y字型の柱で支えられた屋根と、コンクリート+ガラスのダブルスキン構造のデザインが印象的ですね。また反対側を見ると、西隣にはキンベル美術館拡張プロジェクトとして2013年にオープンしたレンゾ・ピアノによる新棟があります。カーン棟と中心軸や幅をそろえ、空間単位の反復を継承しながら、透明で軽やかな明るい建築になっています。お二方ともこんな名建築の隣に設計するのは苦労しただろうな~。

建築:キンベル美術館

設計: ルイス・カーン

建築作品を見た雑誌a+u ルイス・カーン

建築がある場所:アメリカ、テキサス

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