香川県庁舎~日本の技術を最大限まで引き上げたモダニズム建築!~

1958年に完成した香川県庁舎(現在は東館として使われています)は、建築家丹下健三の代表作の一つ。丹下の初期の傑作といわれています。西洋に学んだ鉄筋コンクリート建築と、柱と梁を組み上げる日本の伝統が融合した建築。美しさと機能が一体化した傑作です。この打ち放しコンクリートによる柱梁の構造美などの意匠は、世界に高く評価されています。丹下は尊敬し続けてきた建築家ル・コルビュジエによる近代建築の5原則、ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面に 基づいてこの建築を設計しました。その近代建築の原則に和の要素が組み合わされて、完成度の高い日本のモダニズム建築が実現しました。 そしてこの建築、その後の官公庁や文化施設のビルディング・タイプとなったわけです。そいうえばこの建築に似たようなかたちの庁舎よく見ます。これが最初だったわけか!

敷地内に入るとなかなかの日本的な庭園がむかえてくれます。 和風建築の庭園を示唆するような石組みがあります。 おっと、太鼓橋までありますね! その庭に立つと、目の前に見える8階建ての高層棟の外観は、まるで日本の木造建築のようです。四角い柱が貫き、各階の床を支える梁が垂木のように並んでいて、当時の建築技術の限界までの細さで表現しています。鉄筋コンクリートの近代建築に和風建築の意匠を導入しているんですよ。それがすべて打ち放しの鉄筋コンクリートでできているってのがすごくないすか。 この小梁の薄いなあ! その打ち放しコンクリートの打設の精度もすごい! 型枠製作には宮大工が呼ばれ、そしてたくさんの作業員が竹の棒でコンクリートを丁寧に突きながらコンクリート打ちの作業を行ったとのこと。たいへんだったろうなあ。 日が差してくると、その小梁は後退し水平線が強く浮き立ってみえます。そのエッジのきいた打ち放しコンクリートは美しさのなかにどこか緊張感がありますね。

建物は高層棟、議会棟、中庭がコンパクトにまとまっていて、それを結びつけているのが議会棟1階のピロティですかね。歩道沿いに延びた低層棟の1階がピロティになっていて、広場のように通り抜けできるようになっています。2層分の高さからなるピロティが市民に対して開かれており、中庭へ、あるいは高層棟のロビーや屋上へと導いています。これならだれでも気軽に入っていけますね。当時これOK出した知事もすごい勇気ですよね。

屋上は、竣工当時は瀬戸内海を見渡す見晴らし台として人気があり、竣工後半年で県民の6分の1、およそ十数万人が訪れたそうです。すごいな! 屋上は開放され、喫茶店もあったそうです。ちなみに現在は解放されていません。

1階部分の壁画「和敬清寂」は猪熊弦一郎によるものです。日本のあるべき民主主義は茶の精神であり、茶の精神は和敬清寂にあり。なるほど。ガラスとコンクリートの無機的な空間の中に大胆な色と形。でも気品のある壁画です。 当時の金子正則高松県知事は、戦災復興の象徴と民主主義にふさわしい県民に開かれ、希望となる県庁舎を建ててもらいたいと考え、高松出身で旧制中学の先輩だった画家の猪熊弦一郎に相談。そこで選ばれたのが丹下だったとのこと。

この建築は全体に渡って、丹下の意匠に対する想いみたいなものが浸透し、「美しいもののみ機能的である」 と言い放った丹下健三自らの美意識が建築化した作品です。しかし、これだけしっかりとした表現が建築に現れているのは、建築家のみならず、当時の大工さんによる技術を極限まで駆使した精微な表現、そして当時の金子正則県知事をはじめとする行政の方々の見識の高さや熱意があったからだと思いますね!

建築:香川県庁舎

設計:丹下健三建築・都市設計研究所

建築作品をみた雑誌等:新建築19591月号、丹下健三(鹿島出版会)、丹下健三(新建築社)、香川県庁舎1958(編著:香川県庁舎50周年プロジェクトチーム、ROOTS BOOKS

建築のある場所:香川県

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