豊田市美術館~日本のモダニズムを継承した建築~

この建築は、自動車のまち豊田市の中心市街地が一望できる小高い丘の上にあります。この敷地は、江戸時代末期に築城された「七州城」と呼ばれた旧挙母藩の城があった場所で、美術館の入口近くには復元された七州城のお隅櫓があります。

美術館は20世紀美術とデザインの収蔵されている常設展示室、現代美術の意欲的な企画展などが行われる企画展示室、漆芸で名のある作家・髙橋節郎氏の作品を収蔵す高橋節郎館の展示空間、そしてそれらを結ぶ人工池に面した回廊によって構成されています。そして建物は、地形の傾斜にあわせて、12階部分が地面に接しています。1階部分は芝生の広場に面したエントランスで、2階部分のレベルは広大な人工池に面しています。回廊状に連なった四角い建築群が水面によく映えていますねー!

建物の中心部にある常設展示室のボリュームは、半透明のガラスで覆われていて、日中はそのガラスを通る光によって、展示作品に適した均質な空間がつくりあげられています。また反対に夜は光が外部にもれ、周辺の庭園を照らします。そのガラスボリュームの両端にはモス・グリーンのスレートでできたボリュームがあります。向かってひとつは企画展示室、もうひとつが高橋節郎館となっています。とてもシンプルに構成されたモダンな外観はさすが谷口吉生建築!その水平、垂直の直線と矩形はとても美しいです。

内部の展示室はというと、上部のスカイライトから自然光がおちる無柱の大空間となっていて、そのやわらかい光が気持ちの良い空間になっています。高橋節郎館は、漆の展示に必要な機能と意匠を備えた展示空間となっています。展示室から他の展示室が少し見えたり、廊下から豊田市の風景をながめることができるなど、たまに空間にあらわれる意外性が面白いですね!また館内には、講演会やコンサートなどを行う講堂、図書閲覧室をはじめ、テラスに隣接したレストランやミュージアムショップなども充実しています。また、屋外には人工の大きな池と庭園が整備されており、水と緑の空間は憩いの場となっています。ランドスケープデザインはランドスケープアーキテクトのピーター・ウォーカーが担当。以前ご紹介した丸亀市猪熊弦一郎現代美術館・丸亀市立図書館でも一緒になってプロジェクトを行っていましたよね。そのランドスケープデザインは幾何学的な配置と植栽が特徴的で建築と調和しています。

いやあ、何度も言っちゃいますが、さすが谷口吉生の美術館!鑑賞者のアート体験を考慮しながら美術作品が配置される空間と動線がとても繊細に、そして絶妙なバランスで構成されていますね。外観の美しさだけではなく、心地よく作品を楽しめるようになっているんですよ。お見事!傑作です!!この美術館は1995年の開館以来およそ20年もの歳月が経過して、最近では建築の意匠はほぼそのままに、エレベーターやスロープが新設され、ワークショップ・ルームはおよそ2倍の大きさになって、改修がなされました。日本におけるモダニズムを継承した真骨頂の建築 、その普遍的な谷口設計の美術館が街にある。これはまちの宝ですよ!これからも大事にされていってほしいですね!!

建築:豊田市美術館

設計:谷口建築設計研究所

建築作品を見た雑誌:ja1996-1

建築がある場所:愛知県豊田市

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