星のや軽井沢~ランドスケープデザインが桃源郷をつくる~

星のや軽井沢は、大正10年創業の軽井沢星野温泉ホテルが100年余りの時を経てリニューアルしたリゾートホテルです。10年の歳月をかけて完成させ、オープン後の評判も上々とのこと。敷地は4.3ヘクタールもある谷間空間で、土木・建築・造園・エネルギー等の分野が連携したとても完成度の高いデザインとなっています。

ここのすばらしさは、何といっても自然地形を活かした表現ですね。あくまでも自然を基調としながら、デザインされた土地の造形がそこにはあります。なんか日本庭園にも通じるものありますね。山あいの高低差を利用し、水の空間を見事に作りだしていて、訪れた人の心をその世界に引き込むここちよい場所をつくりあげています。

メインのエントランスを入ると、まず目に入ってくるのが「集いの庭」です。湯川とをさりげなく近づける関係性がいいですね。川の地形に合わせて境界をデザインしています。大きな池からこぼれ落ちてくる水が斜面を流れ、まるで林の中に棚田があるかのような庭となっていますね。それら二つの池を軸として、集いの館、スパ棟、宿泊棟が配置されています。設計者は 東西を丘陵に囲まれた、谷あいの立地特性を逆に生かして、「谷の集落」をイメージしたといいます。流水と落水と静水面で構成され、水を効果的に使った景色がデザインされています。いやあ美しい。周囲は森に囲まれていて、軽井沢の森に優しく抱かれる桃源郷のようです。このような軽井沢の自然と調和した風景とその様々なしつらえは、建築の設計を担当した東環境・建築研究所と何度も話し合いを重ね、これらの集落にふさわしいスケール感をつくりだしたとのことです。

またこの施設は、「エコ・リゾート」であることも大きなテーマであり、様々な取り組みがなされています。敷地内を流れている湯川の水を水力発電用に引き込み、それを利用しています。その他、既存樹木の保全、ムササビの止まり木、地下熱利用による自給エネルギーなど、土地の形とそこに成立している生態系や自然資源を活かした考え方が形となっています。

ランドスケープのデザインは、やはり建築とは違い、植物や自然、生命を素材に環境をデザインしています。つまり風景を構成している多くの要素は生きているんですよね。特にこの様な自然豊かなロケーションでは生きているものたちの存在が非常に大きいのではないかなと思います。なのでオープンで完成するのではなく、そこから時間軸とともに成長する、あるいは四季の変化を想定したデザインをしなくてはいけない。すでにこの場所に生きているものを最大限守りながらその場所の未来を想定してデザインする。それは作りこみすぎず、季節、天気、時間、光など、自然の状況変化と呼応しながら空間として育っていくように考慮しなければいけない。それってとてもむずかしいことですが、大切なんだろうなと感じました。それって農業みたいに試行錯誤の繰り返しじゃないですか。集落って人とその土地とのかかわりあいで生まれて育っていくものですからね。こういうふうに建築もデザインしていくことが大切なんだろうなと思いました。

ランドスケープ:星のや軽井沢

デザイン:オンサイト計画設計事務所

ランドスケープデザインをみた雑誌:新建築20058月号

ランドスケープデザインのある場所:長野県

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