バタフライスツール~和と洋の技術が融合した機能美~

蝶が羽をひろげ飛んでいるかのような美しいフォルム。その姿がこの名の由来となっている、柳宗理デザインのバタフライスツール。柳宗理は戦後日本の工業デザインの確立に大きく貢献した、日本が世界に誇る工業デザイナーです。レコードプレーヤー、ベンチ、食器類、幅橋など広く数多くの分野のデザインを手掛け、2011年に96歳で亡くなるまで制作を続けていました。ちなみに1972年の札幌五輪の聖火トーチも彼の作品です。そのなかでもこのバタフライスツールは、彼の代表作として世界的に有名です。彼のデザインは父親であり民芸運動家の柳宗悦の影響を強く受けたようですね。幼少期から民芸、工芸品がそばにあって、それが彼の感性の基礎となっていったようです。

1956年の発売されたこのスツールは、1957年に開催された第11回ミラノ・トリエンナーレに招待され出品すると、金賞を受賞しました。現在では、世界各国の著名な美術館に、世界中の有名な家具たちと共に収蔵されています。さらには、ニューヨーク近代美術館(MOMA)や、パリのルーブル美術館ではパーマネントコレクションとして選定されているとのことです。

さて、この美しい椅子がどう生まれていったのか。それは戦後、以前シェルチェアでご紹介したイームズ夫妻のもとを訪ねた柳宗理が、成形合板で作られたイームズの代表作レッグスプリントに出会ったことがきっかけです。その時彼が目の当たりにした成形合板の曲線に影響を受けて、生まれたのがこのバタフライスツールなわけです。革新的な木工技術を用いたその成形合板で何か作れないかと模索している中、この原型が生まれたといわれています。しかもわりと偶然みたいです。新しい発見ってそんなものなんですね!そしてその後、何度も何度も模型を作り、試行錯誤を重ねていって、現在のカタチが生まれました。そのしなやかで美しい曲線のデザインは、2枚の成型合板を2本のボルトと1本の金属棒で連結させただけのシンプルな構造です。この美しく柔らかい曲線を作り出すためには、山形にある家具メーカー、天童木工の高度な成形合板技術が不可欠だったとのことです。まさに柳宗理のバタフライスツールは、日本の伝統工芸と、西洋のモダニズムの考え方を融合させたデザインなんですよ!すばらしい!!

このスツールは、もともと畳の上で使用できるようにと考案されているため、畳を傷つけないように床と接する脚の先端は緩やかな曲線になっています。左右がシンメトリーとなっている姿は、繊細で軽やか。もはや芸術作品のような優美さです。正面からのフォルムが、「天」という漢字や神社の鳥居を連想させ、和の情緒を感じますね~。しかしながらこのスツールは、彫刻的な美しさだけでなくとても機能的です。そのようなデザインをすることが彼の哲学なのです。本当に優れた実用性のあるものは、時代が移り変わっていっても、決して古びることはないんですよ!曲線の多いデザインの見た目とは裏腹に、座り心地は安定感があります。座る人のことを考えた座面の曲線なのですね。見た目だけでなく、座り心地も考慮されたすばらしいデザインです!

照明:バタフライスツール

デザイン:柳宗理

デザインをみた雑誌等:天童木工(家具の教科書シリーズ)(美術出版社)

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