群馬音楽センター~まちと音楽と生き続けるモダニズム建築~

群馬音楽センターは高崎駅から徒歩およそ5分程度に位置する高崎城址公園の中心部にあるコンサートホールです1961竣工以来、高崎市の文化のシンボルとして存在しているこの建築は、日本の近代建築に大きな影響を与えたチェコ出身の建築家アントニン・レーモンド( 1888-1976 )が設計を手がけました。レーモンド は、戦前から戦後にかけて東京を中心に日本各地で教会、音楽堂、学校、個人住宅等の様々な建築を手がけました。その中でこのホールはレーモンドの代表作であり、日本モダニズム建築のお手本とも言える傑作です。!

この建築を建てようと動いたのは実業家の井上房一郎というかた。戦後誕生した群馬交響楽団の活動拠点として高崎に音楽ホール建設を目指した井上氏は、親交のあったレーモンドにこの建築の設計を依頼しました。建物は、建設費の一部を市民の寄付金によってもまかなわれています。およそ1900席ほどあるホールは、音楽から演劇まで幅広い公演に利用されていて 高崎市民はじめ多くの人々に親しまれた存在となっています。

そんな群馬音楽センターとても奇抜でダイナミックな外観をしています。たとえて言うなら、サソリもしくはザリガニ、いやいやカブトガニかなその独特のデザインが印象的な外観は、折板構造という構造形式によって成り立っています。複雑に鉄筋コンクリートの壁折り曲がった折板構造。 なぜわざわざそんな形にしたのか。その理由は、使用するコンクリートの量を減らすことができからです。 折り曲げた壁はまっすぐな状態の壁よりも強くなるのです。 群馬音楽センターでは、この折板構造のコンクリートを東西の壁面と、屋根面に使っています。それによって、建物の最大スパンが60メートルもありながら、壁の厚さは25センチ、屋根の厚さはわずか12センチですんでいます。薄いです建設資材がまだ十分に流通していなかった時代にできたこの形態は、当時の社会状況を反映した形なんですね。合理的な構造の考え方からこのかたちが生まれたのか!この構造は低予算で大空間を構築するためのレーモンドの工夫によるものなのだそうです。すごいなあ!

群馬音楽センターの正面は一面ガラス張りで内部は地下1階地上2階で構成されています。1階ロビーの左右に有機的なフォルムの階段があります手摺壁のや三角でくくりぬかれた穴が独特デザインですね。遊び心があるなあ。2階ロビーに上がると、内部からみえる大きな屋根組み、そしてガラス壁に圧倒されます。そして壁にはレーモンドが原画を描いたカラフルな壁画があります。

さてホールへ。1900席近い客席が同じ平面状にあるのは壮観ですねえ。 舞台と客席がすべて同一面上に連続していて、2階席は無く、2000近い収容の大ホールなのに威圧感が無くのびやかな空間になっています。折板構造によるジグザグの波形形状の壁の線に合わせて照明が埋め込んであり、構造と意匠が絶妙にマッチングしていますね

ホールの1階にはレーモンドのギャラリーもあり、建築を学ぶ学生をはじめ、多くの人々が来場しています。 また他には、なんか敷地内の庭には楽器を模したオブジェがところどころに飾ってありましたよ。特にバイオリンの形をした電話ボックスがなんとも可愛らしい。

この群馬音楽センター、完成してから50年以上年月を経た建物は思えないほど、輝いていて、市民に愛されている建物だということも、伝わってきます。しかしこれほどのモダニズムの名建築であっても、耐久性や音響などの問題が指摘され、改装や用途変更、建て替えなどが行政サイドで検討されているみたいです。建築的な価値により、建て替えにまで至るのは避けられるらしいですが、できることならばなんとか今の音楽とともに生きつづける建築であってほしいなあ

建築:群馬音楽センター

設計:アントニン・レーモンド

建築作品をみた雑誌等:JA33 アントニン・レーモンド

建築のある場所:群馬県高崎市

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