大分アートプラザ~建築思想と空間を味わう~

大分アートプラザは、1998年に旧大分県立大分図書館を改装してオープンした磯崎新の初期の代表作です。RC打放しと正方形断面の中空梁によるとても力強い造形が特徴的すね!まるでまちに向かって大砲を向けている戦艦のようにも見えますよ!!

この建築は、磯崎新と大分にとって重要な建築でもあります。1966年に完成し、多くの市民の方々に親しまれてきた大分県立大分図書館でしたが、1996磯崎新が設計した新県立図書館(豊の国情報ライブラリー)への建て替えによって取り壊しが予定されていまし。しかしながら、大分市が大分県から建物及び敷地の譲渡を受けて、市民のための文化交流の場として再生したわけです。これには熱心な保存運動があったと聞きました。うれしいですね

このアートプラザの用途は芸術文化の複合施設です。1階、2階にはネオダダの作品をはじめ大分市美術館所蔵の現代アート作品を常設展示している60’sホール、ギャラリーなど多目的な使用ができるアートホール、そしてカフェ、研修室等が設けられ市民文化活動の場が提供されています。3階は、磯崎新がこれまでに手がけた世界各地の建築作品の模型や資料を常設展示された磯崎新建築展示室となっています。

またこの建築は、磯崎新が「プロセス・プランニング」という建築思想を方法化したものとしても重要な建築となっています。これは建築家自身1962年に提唱した建築概念で、この旧大分県立図書館の設計する過程において考えられました。その「プロセス・プランニング」とは、用途変更・改修・増築など、時間による変化が空間の活用において生じる場合、計画段階でそれらを想定した設計を行う方法論です。蔵書の増大や使用形式の変更が予測される図書館建築に対し、単に空間を拡張・展開していくではなく、建築を構成する諸室などがそれぞれ完結した用途を持つことで、既存建物のデザインをこわすことなく、一体化したかたちでの増築を可能にしようとしました。あの時代にそこまで深く考えていたなんて、何と思慮深い人だ!そしてそれは建物の表現にも表われています。外観に切断面みたいなカタチがあるのがわかりますか?そう冒頭で出てきた大砲です!将来の増築を見込んだ仮想の建物を切断したようなものが見えますね。正方形の端部を露出させている梁は、そうした切断の行為を象徴しているわけですね!!

そしてもちろん内部空間の豊かさこの建築を特徴づけています。空間的にもこの建物はとても魅力的です。長いスロープを折り返してアプローチを進エントランスから中央ロビーに入ると、トップライトからの崇高な光を受けた大空間が広がります。存在感のある中空梁、コンクリートの構造壁に挟まった中廊下など、相互貫入する空間が絡み合った構成が建築家の建築思想を空間体験できているように感じます。閲覧室は水平の窓から採光されていますね。採光によって、空間に変化が生まれていますまたところどころに生じる段差をはじめ、展示室ごとの細かい階段なんかもまた面白いっす。外観の何か無骨な造形とは裏腹に内部空間の構成は豊かですね~この思想的な空間の考え方と空間としての質をもつ磯崎建築に当時の建築家を志す若人たちは感銘を受けたのでしょうね!

大分は建築家自身の故郷というのもあってか磯崎建築のまさに宝庫となっています。岩田学園、JR由布院驛、豊の国情報ライブラリー、ビーコンプラザなどなど数々の磯崎建築があります。かつては大分県医師会館、福岡シティ銀行大分支店なども初期磯崎建築作品として、大分の景観の一部となり人々に親しまれましたがこれらの建築は残念なことに解体されてしまいました。昨今、ようやく建築の再生をうながす持続可能な考えが根付いてきてはいますがまだまだです。バルセロナに行けばアントニオ・ガウディの建築と出会えるように、大分に行けば磯崎新の建築群が存在するということが、日本の建築文化を未来へと残す、まさにレガシーとなるのではないかなと思います。

建築:大分アートプラザ

設計:磯崎アトリエ

建築作品を見た雑誌等:JA57、新建築19987月号

建築のある場所:大分県

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