ヴィンタートゥーア美術館増築~美術空間を解放するガラスの素材感~

ヴィンタートゥーアはスイスのチューリヒからおよそ20kmほどの小都市。この周辺には、美術館やシアターなどが多くあり、とても美しいまちです。この建築はそんな小さなまちの美術館旧館の増築です。増築部分は旧館と内部でつながっていて、その空間には主に現代美術が展示されています。

敷地は四方を街路に囲まれている区画となっていて、新館であるこの建築は、既存の美術館旧館の北側に建っています。長方形となっている美術館のプランは、南北の軸から少しはずし、旧館の軸線にそろえていて新館と旧館の接続がスムーズになる配置となっています。外壁が四周がガラスパネルで構成されていて、屋根にはのこぎり型のトップライト がのっている姿が印象的です。RCとガラスの空間が絶妙なバランスで空間を演出していますね。いやあ、とても美しい建築です。この建築はもともと仮設的な意味合いで建てられた建築であるとか。だからか。なんか軽やかに感じるんですよね。だからといって完成度が低いわけではない。むしろその完成度の高さと繊細さがこの建築の存在感をつくりあげています。

建物増築部分における4面すべての外壁は、独特の質感・表情をもつプロフィリットガラスという半透明なガラスでおおわれていて、光が反射したり、透過したり、その場面場面で建築の表情が変わります。外観をながめると、そのガラスの壁面が周辺の緑を映し出し、外観を緑の色に染めているような気がしました。美しい宝石のような外観をつくりだしています。

建物の1階はピロティー状の駐車場になっています。すごく柱が細くて、むしろ外周のガラスが構造みたいにみえますね。壁面が細い幅のガラス板が換気のためのスリットをもちながら配列されています。やはりこのガラス壁面、とても美しいです。駐車場なのにこんな美しい空間でいいの?みたいな感じです。

2階はRCの壁に囲まれた展示空間となっています。外周にはガラスが配されていて、コンクリートとガラスのダブルスキンの構成となっています。これはガラスの透明や反射といった特性に変化を与えるだけでなく 、壁に対する断熱の役割をも担っています。内部空間は、屋根にあるのこぎり型をした北側採光のトップライトが展示空間をやわらかい安定した光をとりいれ、内部の美術作品を包み込んでいます。

この建築表現非常にシンプルです。形態と素材の持つ表情、質感だけで成り立っているように見えます特に素材に関しての表現は極めて透明で繊細な表現だなと感じました。ガラスの表現に強くひかれましたね。感動しました。ガラスの色合いが建築に侘びさびみたいな雰囲気をつくりだしていて、それが建築を構成している重要な要素になっています。工場の屋根のようなトップライト重いものほど建物ののっかっているように見えるのですが、そのバランスの妙が、美術館という重厚になりがちな建築タイプの重々しさから解放されているようにみえました。スイスの建築ってちょっと日本に近いところあるんじゃないかなあ。スイス建築かなり好きです!

建築:ヴィンタートゥーア美術館増築

設計: ギゴン&ゴヤー

建築作品を見た雑誌:a+u19964月号

建築のある場所:スイス

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