虚白庵~陰翳礼讃を表現したかのような濃密な闇と光の空間~

虚白庵と呼ばれている何とも怪しげな名称のこの住宅、建築家白井晟一の代表作の一つに数えられていた自邸です晩年の円熟した時期の作品です。東京都中野区のとある駅前らへんにありまして、1970年に竣工されましたが現在は解体されてしまいました。非常に残念です。。

幹線道路に面した敷地は、外部からの人を拒むように重厚な塀に囲まれていました。外から見るかぎり、中の雰囲気は全然分かりません。なんとも異様でした。都市の喧騒壁で隔て、人を寄せつけようとしないそのたたずまい。非常に閉鎖的な印象を受けましたねえ。白い壁はRC造とはいえRCが見えているところはすべてはつっているので一見石づくりのように見えるんです。扉はスチールでがっしりとした作りですが、壁の圧倒的な量感に挟まれたせいか、なぜか扉の存在が軽く見えるような気がしました。

建物はRC造の平屋建てで、敷地面積およそ490㎡のなかに延床面積がおよそ240㎡ほどの建築が建っていました。つまり敷地の半分が建物、残り半分が外構という、この地域にしてはかなりゆったりとした計画となっています。北側広い幹線道路に対しては閉じて南東に中庭を設けたL字型の平面計画がされています。L字型の中庭から見て西側日常生活を営む居間・食堂が配置され中庭に向かって大きなガラスが配置されていることで視覚的にひろがっています

L字型の中庭から見て北側思索に耽るための書斎が配置されています。こちらは居間・食堂とは反対に、ぎりぎりまで限定された開口部で中庭と繋がっています。住まいのほぼ半分を占める書斎は、かなり暗くそして濃密な空間です。書斎にしてはなかなか広い空間ですが、開口部は一つだけ。まるで洞窟のように薄暗い部屋ですね。間接照明によって仄暗く照らされる書や彫刻。書斎の一角にはおよそ4畳ほどの全く自然光の入らない空間があり、その奥には畳ベッドがしつらえてあります。壁には青いベルベットや、深紅ブラジリアン・ローズウッドのパネルが使われていて、光があたることで闇の中に沈んでいたその色合いが怪しげに浮かび上がってきます。床は絨毯。天井は布地貼り。この部屋の中でほとんど反射しません。むしろ、光も色、そして音さえも、みなこの空間に吸収されてしまいそうですう~ん、奇妙。不思議な空間です。照明が光を出し空間に奥行きを与える様相は、文豪谷崎潤一郎が書いた随筆「陰翳礼讃」のような世界観がありますね。哲学的な雰囲気を醸し出しているわ~。

部屋から一歩外にでるとそこには室内と対比するかのように明るい陽光に照らされた庭が広がります。敷き詰められた白砂と一本だけ植えられた枝垂れ梅が印象的ですね。美しいです。禅寺のような雰囲気をおもわせますね。ほんとこの空間の雰囲気はお寺とか、教会とか近いです。のメリハリが、白井晟一の「考える空間」と「生活する空間」差をつくって、建築家はそれぞれの空間を棲み分けていたのですかね~。白井晟一の空間、見れば見るほど興味がわいてくるわ~。ほんと不思議な建築家です。

建築:虚白庵

設計:白井晟一建築研究所

建築作品をみた雑誌等:白井晟一(鹿島出版社)、白井晟一の建築Ⅲ(めるくまーる)

建築があった場所:東京都中野区

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