高齢者のための100戸の集合住宅~オランダの風土からの発想~

この建築がある敷地は、アムステルダムの中心部から西に車で20分くらいのウエスタン・ガーデン・シティ。1950-60年代につくられたアムステルダムの田園都市です。しかしここ周辺は、田園都市といわれながらも建物群の高密度化により、まちの特色である緑のオープンスペースが減少していくという問題をかかえていました。この建築はそんなこの問題に歯止めをかけるために計画されたプロジェクトだったとのこと。この建築は1997年に建てられた年齢制限は55歳以上の100戸の高齢者用集合住宅。建築家ユニットMVRDVの初期の作品で、そして彼らの出世作となりました。私もこの作品で彼らを知ることになりましたね。

この建築は9階建てとなっていて、緑あふれるアムステルダム郊外の街並みの中、そして周りの大きな木々と一見調和して建っています。が!がですよ!!なんといってもですね、とにかく見た目のインパクトがすごい!!!おそらくこの建築を最初はじめてみた人たちは驚いたでしょう。私はちなみに二度見しましたよ(笑)。

建物の一部がものすごく張り出しています。高齢者の住宅となるものとしては、いささか、刺激的なのではないかという印象も受けますね。長さ85メートル、幅13.3メートルのメインコアとなっている建物に対し、一番張り出している住居部分は、な、なんと11.3メートル!この張り出しは「キャンティレバー」という手法で、片側だけが固定されていて、もう一方の側は固定されていない「片持ち式」の見た目緊張感ある構造のことです。この真下を歩いたらどんな気分かな?落ちてこないかな?と心配になる人がいるかも~。あの張り出した建物部分から外をながめる風景はどんなだろう?気になる~。

北側にビューんと5つのキャンティレバーがダイナミックに張り出していることによる発想は、じつはとても明快なものなんです。100戸の集合住宅を計画していて、法規上では日照を確保するために配置計画を行ったときに87戸しか入らなかった。ではどうしたか?入らない残りの13戸分は空中に持ち出してしまおうという発想を行ったわけです。敷地が足りないから空中にボリューム出してしまえ!とはなんとも潔い解決方法でありましょうか!!

そういうわけで建築の一部は通り沿いはそのボリュームが突出しています。飛び出した部屋の下は道路と一体となった公開空地になっていて、誰でも歩くことができます。それは街並みの中の広い空間を提供することにも成功しているわけですね。地上のオープンスペースを減少させることなく解決することになったわけです!これは国土を埋め立ててつくったオランダという国ならではの発想でもあるかもしれませんね。人口の過密問題をかかえつつあるオランダのまちを物語ったデザインだといってもいいでしょう。外壁は木材に覆われていて、外廊下のガラス壁とのコントラストがいいですよね。このコンビネーションがセンスいいです!

南側も意匠的に、いくつものカラフルなガラスのバルコニーがランダムに突き出ていて楽しい雰囲気。色彩豊かにすることで、建物に表情が生まれていますね。なんか宝石がくっついているみたいです!ポップだな~。

さてこの建築、当初は高齢者用ということでつくった建物ではありましたが、現在では入居者が少なくなり、今では若者のためにも解放するべくリノベーションが行われていると聞いています。うん、住居者なんか年齢で限定しないほうがいいよ!そのほうがいいまちになる!!

建築:高齢者のための100戸の集合住宅

設計:MVRDV

建築作品をみた雑誌:a+u MVRDV FILES

建築のある場所:オランダ、アムステルダム

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