ジャクソン・ポロック展~時代を駆け抜けたアメリカンアートヒーロー~

20世紀を代表するアーティストであったジャクソン・ポロック(Jackson Pollock, 1912- 1956年)。

以前、その生誕100年を記念して開催された展覧会に行ったときの感想を少し。いやあ、この展覧会、とてもよかった!この展覧会は、日本初の大規模なポロック回顧展となりまして、海外の美術館や国内の美術館より、初期から晩年にいたるまでの彼の代表的作品を含むおよそ70点が出品されました。これまで何度も試みながらも開催までには実現しなかったポロック展が、ようやく日本で実現したとのことでした。

ジャクソン・ポロックはアメリカそして20世紀美術界のヒーロー。その彼の絵画表現は、大胆かつ繊細、具象的でありながら抽象的、そして細部の多様性の上に成り立っている単一性があります。

1912年、米国ワイオミング州の農家に生まれたポロックは、一家で西部を転々としたのち、18歳の時、芸術家を志してニューヨークにやってきます。その当時1940年代前半は、第二次世界大戦の戦火を避け、ヨーロッパからたくさんのアーティストがアメリカへ亡命して来ました。そして、様々な前衛芸術家がニューヨークという都市に集まり、美術の中心がパリからニューヨークへ と移り変わっていきました。そんな時代の中、不安定な精神状況とアルコール依存に苦しみながらも製作に力を注いでいったポロックは、1943年、著名なコレクター、あのグッケンハイム美術館の創始者であるペギー・グッゲンハイムに見出され、一躍有名になりました。第二次世界大戦後、 床に広げた大きなキャンパスに絵具をふり注いで描くポーリング(ドリッピング)という技法で、全米的な注目を集めます。その絶頂期の1950年には、歴史に残る大作が何点も生まれました。アメリカの芸術家が世界の注目を浴びる存在へとなったわけです。その彼の一枚の絵にはやらしい話ですが、200億円という値段がついているというから、すごい!これ、現代取引きされている絵画の中で一番お高いとのこと。

さて、そんな彼の展覧会の構成は、第1章から第4章までとなっています。彼は、そのはじめっからキャンバスを床に置きその上から絵具を垂らしていくドリッピング(ポーリング)技法を行っていたわけではないんですね。それどころか、その技法のみで作品を描いていた時期はなんかわずか4年間!でも、いやあ、こんなに絶頂と衰退がはっきりと作品にあらわれている展覧会もめずらしいなと感じたくらい、作品にはその差があったように感じました。こわいわ~。

1章では初期(1930-1941年)の作品が展示されていました。初期の作品はなんだかドロドロとした内面的な部分が絵画に表現されていて、何か暗いトーンの作品が多く並んでいましたね。初期のポロックはヨーロッパのシュールレアリストたちの影響を強く受けたな作品を描いてます。あの全盛期をおもわすアメリカンヒーローっぷりのおもかげは正直いって微塵も感じなかったですね。

2章では形成期(19421946年)の作品が展示されていました。この時期の作品では、具象的な表現の絵画から次第にその形が消えていきます。筆で描いた作品の上には、ポーリング(ドリッピング)で上描きした作品などが現われてきます。「ポロック」の才能が開花の兆しが垣間見えた時期といってよいでしょう。

3章では成熟期(19471950年)の作品が展示されていました。この4年間は、ポロック自身にとっても、美術史にとってもまさに絶頂のときとなります。ここでは今回の展示作品の目玉、大変な苦労をして日本にやってくることになった大傑作「インディアンレッドの地の壁画」(1950年、テヘラン現代美術館)が展示されています。それまでの具象的表現が絵画から消え、純粋な線だけの絵画へと変わっています。筆では絶対に表現出来ない繊細なドリッピング(ポーリング)の手法。うーん。何か脳内にあるシナプスみたいな表現ですね。とにかく絵にパワー、エネルギーが満ち溢れているのがこの私にでも感じることができました。すごい。

4章では後期・晩期(195156年)の作品。酒にまた手をそめはじめ、絵画から全盛期の迫力が消えていきます。絵画もモノトーンになり、以前描いていた具象的な表現が再び戻って来ていました。つまりドリッピング(ポーリング)手法を否定したりなどの錯綜がこの時期の作品に見て取れます。まあ、いい時代はいつまでも続かないってことですか。そして突然の自動車事故による死。享年44歳。あまりにも若すぎるアメリカンスターの死でした。

ポロック展の会場出口付近には、彼のアトリエが再現されていました。絵の回りをぐるぐると歩き回りながら構築した製作している風景の動画もみることができました。無理だけど床に絵画を置いてそれをながめることができたら、ポロックの視点と同じくしてこの芸術見ることができたらなあと個人的には思ったりしました。

芸術のためにまさに命を削ったアーティストの魂の叫びが伝わり、彼の鮮烈な表現と色彩感覚がどのようにして生まれたか、作風の変遷から良く分かった展覧会でしたね。描かれているものは何かは分からないけど。あ、すいません。言っちゃった!でもいいんです。そこからの何かは伝わり受け取ることはできました。

映画もあるみたいだから今度見てみようかなあ。

展覧会が開催されていた場所:東京国立近代美術館

展覧会が開催されていた年:2012

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