建築の本おすすめ5作品(ひとつの建築やまちが生まれるドキュメンタリー編)

今回は以前ご紹介した「建築の本おすすめ5作品(ひとつの建築が生まれるドキュメンタリー編)」から少し枠組みをひろげた5作品をおすすめしたいと思います。建築をはじめ、そこからまちをつくるものについてのプロセスをドキュメンタリー的にとりあげている本、これをセレクトしてみました。前回も熱い本が多かったですが、 今回も熱いですよ!やっぱ建築、まちをつくるってすばらしいです!最高です!!そしてやっぱりものづくり、ことづくりって人なんだよな~と思いました。

1.磯崎新の都庁

 (著:平野剛、文藝春秋社)

現在の東京都庁を設計したのは?そう、世界の丹下こと丹下健三氏。でもこの本での主役はそちらではありません。コンペに参加したもうひとりの建築家磯崎新氏はじめ、その磯崎アトリエのスタッフにフォーカスをあてたストーリーになっています。やっぱりコンペのはなしは面白いです!コンペは建築の提案を競うものなのですが、我々が目にするのは大抵はその結果や成果物のみだと思います。その結果や成果物がどのように生まれて、そこにたどりつくにはどんな苦労や思考など、検討を重ねたかはやはり当事者にしかわからないわけですよ。でもそこってとても興味深いところですよね。あの都庁が生まれるコンペのなかで、どのような競争があったか、それに対して彼らはどう考えをめぐらしながら、その挑戦に立ち向かっていったのか。著者は前回ご紹介した「安藤忠雄 光の教会」の著者。今回の作品も非常に読みやすく、物語に入りこませ、読者を楽しませてくれます!

2.体験的高齢者住宅建築作法

 (著:中原洋、彰国社)

施主でもあるこの本の著者は、編集者やライターで住まいにもかかわってきた方。この本では建築家に設計してもらって30年近く住んだ名作住宅を手放して、新たな住居を建築家と建てられるまでの軌跡が書かれています。著者はとても目が肥えていて、住まいに対する理想も高い。「機能的な家より美しい家を建てたい」「暮らし方のほうが大切」そんな要望をお願いするお施主さんはあまりいないでしょう!でもこういうことを言ってくれる施主は住宅を設計する建築家にとっては、とてもありがたいものであります。この本では、建築家との家づくりのプロセスを施主側の主観的視点でありのままに書かれています。その困難と格闘する姿がまたリアルなんですよね。そこには建築家と住宅を建てる際のただただ大切な想いが結晶化されています。「終のすみか」みなさんはどう考えていますか?

3.まちを育てる建築~オランダ・ルームビークの災害復興と住民参加~

 (著:鄭 弼溶、鹿島出版社)

2000年、オランダ東部で起きた花火工場の爆発事故により、まちの一地区が焼失して、多くの人々が住む場所を失いました。この本はその復興コンペから建築とまちがつくられるまでのドキュメントです。この復興コンペで当選した建築家の案は「一本の線もない」提案でした。建築家のチームは、その線をそこに暮らす人々とともに引いて、まちをつくり、育てることを考えたからです。建築家のチームは地域社会の復元力を信じて、住民たちの知恵や工夫を引き出していきます。住民との徹底した対話から、ともに考え、ともにつくる過程がリアルに描かれています。これからの建築やまちづくりと建築家のあるべき姿を問いかける価値ある一冊であると思います。

4.吉祥寺ハモニカ横丁のつくり方

 (倉方俊輔編、 彰国社 )

「住みたい街ナンバーワン」吉祥寺。あ、でも最近までか。まあ、それはおいといて。そのJR吉祥寺駅北口駅前に、昭和の匂い漂う「ハモニカ横丁」があります。一歩足を踏み入れると、細い路地が入り組み、新旧さまざまの飲食店や雑貨店が軒を連ね、夜は赤提灯に吸い寄せられ多くの人でにぎわっています。なぜここだけ開発を逃れながら独特の魅力を放ち、生き生きとした営みが持続しているのか?この本ではその秘密に迫るべく、この横丁を長年にわたってプロデュースしてきた手塚氏を中心に、店舗づくりを担った設計者たちとの対話を重ね、そのプロセスを分析することで、まちをつくる新たな価値とは何かを問いだしています。ハモニカ横丁には人々が生き生きと暮らすまちづくりのヒントが隠されているかもしれない!

5.町の未来をこの手でつくる~紫波町オガールプロジェクト~

 (著:猪谷千香、幻冬舎)

全国の地方自治体では、やれ「地域活性化」だの、やれ「まちづくり」だのと言っては、多額の補助金をつぎこんでは公共事業を行ってきました。しかしながら、施設をオープンしたものの、目算が甘々で、あっという間に施設は閑古鳥が鳴いている状況に陥っている、そんな事例が多々あります。私の地元でもそういう例があって、市民はほらみろと何回思ったことか。この本では、ここではそんなものに頼らず、自らの故郷である岩手県の紫波町というまちを再生していく人たちのドラマが描かれています。そのプロジェクトを推し進めるプロセスは、読んでいて胸がくわーっと熱くなります。このプロジェクトの手法は、事例もなく多くの困難との格闘であったかと思います。そこに立ち向かった人たちにほんと敬意を表したい!やはり自分のまちは自分たちで守り、そして育てていかなくてはいけないものなんだ!!

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