ソーク生物学研究所~広場が空へのファサード!~

サンディエゴにあるソーク生物研究所は、ポリオ・ワクチンを開発したことで知られるソーク博士によって創設された研究所です。建築物も有名だが生物学の分野においても、多くのノーベル賞者を輩出していることで世界的な研究所です。建築はアメリカ西海岸の最南端、メキシコに程近い高級リゾート地ラ・ホヤの、太平洋を望む断崖にあります。

美しい研究所にしたかったソーク博士建築家ルイス・カーンの設計したペンシルヴァニア大学のリチャーズ医学研究棟を見て、「芸術家のピカソを招いても良いような研究所を」と依頼し、1966年にこの建物は完成しました。依頼者と建築家が計画から完成までの長い年月を、二人三脚のように協働したという、固い信頼関係から生まれた建築です。熱い!

建築は、海と空対峙した広場コンクリート打ち放しの造形とその仕上がりの美しさ、そして絶妙な組み合わせではめ込まれたチークの開口部がとても印象的です。ふたつの実験棟広場が完璧に近いゾーニングによって構成されている配置・平面計画。その大きさも構成もまったく同じ南棟と北棟の建物が広場を挟んでキチンと配置されています。その厳密なシンメトリーが神殿を思い起こさせますね。その建築の佇まいは、時流や風潮に流されないカーン建築独特の信念。説得力と言ったら良いでしょうか。そのような雰囲気をもっています。

研究棟は、広場を挟んで対象に建っています。上述したように、これらがシンメトリーに並列していて、その壁柱のリズムがとても美しいです。母屋の柱の無い大部屋と、広場側に独立した休憩スペースから出来ています。休憩スペースは研究フロアから階段を昇ったところにあり、コンクリート打ち放しの外観にチークの窓枠で暖かい空間を作っています研究室以外はほぼ外部に面していて自由な通路や吹き抜け空間などがあり、地下の緑があるスクエアガーデンは、無機質な空間を和らげています。この海に面した窓の壁には チークの木材でできたパネルがはめ込まれて、人間の営みの場であるにふさわしい 温かな表情をつくっています。 外観としても、このコンクリートとチークの素材がとてもよく馴染んでいます。 形、とともに素材が考え抜かれ、無駄なものが一切ないという感じです

やはり何といいましても、東西に分かれた研究員棟の間にあるこの広場が圧巻です。研究者がほっと一息できる場としてこの広場は、 木を植えて森のようにするべきか、何もない整然とした庭にするべきか、建築家は悩んだそうです。そこで建築家メキシコの建築家で友人のルイス・バラガンに相談し、助言を求めることにしました。そして現場にやって来たバラガンがその場に立ち、「この場所には一本の樹木も、一枚の草の葉もいらない。ここは庭になるべきではなく、石と砂の広場になるべきだ!そうすることによってファサードが出来るんだ。空に向けてのファサードが!」そんな言葉をかけたそうです。かっこいい!!そして建築家はその言葉に同意し、広場は現在の姿になったそうです。でも実はソーク博士は、研究棟の挟まれたこの場所を、木々の茂る中庭にしたかったそうです。しかし、建築家の提案を受け入れて、今見るような大理石の広場にとなりましたすばらしい関係性の重なりでこのすばらしい空間が誕生したわけですね!!

たしかにバラガンが言葉にしたように、その場所は「空へのファサード」でした。大理石の広場がとても美しいですね。時間が止まっているように感じます。静寂に満ちた広場は、海、建物、人を浮き立たせます。このピンとした空気感最高です!何もない広場の真ん中に太平洋へと中央を真っすぐに延びる水路があります。鋭い刃物で広場を一直線に切り裂くように、その太平洋向かって流れています。その海に向かった水路の先に落ちる夕日はもう感動。何とドラマチックな風景なのでしょうか!

建築:ソーク生物学研究所

設計: ルイス・カーン

建築作品を見た雑誌a+u ルイス・カーン

建築がある場所:アメリカ、カリフォルニア

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする