イームズシェルチェア~普遍性をもつデザインとは~

チャールズ&レイ・イームズのデザインしたイームズシェルチェア。現在ではそのシルエットはだいぶおなじみかと思います。この椅子は、1948年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催した「ローコスト家具デザイン国際コンペ」のためにデザインされたものが現在のフォルムの原型になったと言われています。貝殻のような曲面をしていることからシェルチェアと名付けられました。ミッドセンチュリーと呼ばれる1940年代~1960年代の頃のチェアデザインを代表する作品で、彼らがデザインした作品の中で最もポピュラーな家具ですね。

デザイナーは、その当時新素材であったFRPが、身体の曲線にフィットする有機的なシートシェルを作ることができる素材だと確信して制作を開始します。デザイナーがこのデザインで追求したことは、素材の特性をありのままに表現したデザイン。イームズシェルチェアの複雑な三次元曲面を実現した背座一体となったシェル型デザインはとても斬新で、発表当時とても大きな注目を集めました。そしてさらにその努力が実を結び、1950年には、ハーマンミラーによって製品化された成形技術によって、大量生産が可能となりました。この作品は初めてのFRP製の椅子となったわけです。

時代を超えてもなお斬新で質の高いデザインは、ベースのバリエーションを持たせることで、様々なニーズに対応した展開が可能となりました。そのデザインは世界中の多くのデザイナーに影響を与え、しかも椅子のアイコン的存在となり、多くの人が一度は目にした事がある最も有名な椅子のひとつとなっています。そういっても過言ではないでしょう。そしてこの作品が椅子の大量生産を可能にしたはじめてのFRP製椅子となったという点から見ても、歴史的にも大きな価値があります。

日本でもイームズシェルチェアをもとに素材や技術の研究、デザインが盛んに行われ、様々なプラスチックチェアが誕生しています。たとえば駅のホームやスタジアムにあるプラスチック製のベンチなど、様々な場面で、このシェルチェアーのデザインの影響を色濃く感じることができると思います。 そのカタチは今でも色あせることなく私たちを魅了していますよね。!

イームズチェアは当初FRPで製品化されましたが、1950年に製品化した当初の素材FRPは、リサイクルできないという環境的な理由から1993年に生産が中止になってしまいました。しかしその後の製造技術や素材の進歩により、1998年素材をポリプロピレンに変更しより環境に配慮されたオリジナル仕様のまま復刻されました。そのデザインは技術とともにさらにその普遍性を高めたわけですね!

デザインの普遍性について、よく私は考えたりするのですが、このイームズのシェルチェアからみる普遍性は単なるかっこよさからくるものではありません。人々にいつの時代でも誰にでも愛されるような椅子として使ってほしい。という想いがやさしく表現されているとともに、プラスチックという素材に対する可能性を信じて検討を重ねた跡がこの洗練された曲線に宿っているような気がします。このことはデザインの普遍性についてすごく考えさせられました。その時代にできた素材を最大限に活用したカタチが普遍性を生み出すんだなあ!

椅子:イームズシェルチェア

デザイン:チャールズ&レイ・イームズ

デザインをみた雑誌等:イームズ入門―チャールズ&レイ・イームズのデザイン原風景 (著: Demetrios Eames、 助川晃自 他 、日本文教出版)、ハーマン ミラー物語 イームズはここから生まれた (著: 渡辺力 、平凡社)、美しい椅子 (エイ文庫)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする