黒石市中町こみせ通り~古くからの家屋とこみせが連なるまち並み~

今回は青森県の黒石市の中心市街地、中町地区における「こみせ(小見世)通り」を訪れたときのことをご紹介したいと思います

伝統的建造物が残る中町通りの「こみせ」は、黒石藩政時代から今に残る木造アーケード状の通路のことをいいます。この始まりは、黒石初代藩主が周辺の町割りを行った際に奨励して作らせたものであるとれています。道路側面側に並ぶ木柱の上に、冬の積雪や夏の射しを遮る板張り天井の屋根がかかっています。江戸時代からある昔ながらの風情ある通りに軒を連ねた空間は、旅篭や呉服屋、商家など人々にとってはなくてはならないものでした。昔は雨の日でも傘をささずに町の中を歩くことができたとのことです。訪れたとき通りを歩いているとどこからともなく津軽三味線の音が聞こえてきました。ちょっと建物の中をのぞくと津軽三味線の演奏会が行われていました。こういう建物のどこからともなくそういう伝統楽器から奏でられる音色が聞こえてくるのはとても趣があってよかったですね!

こみせ通りは最も長い時にはおよそ5km弱くらいも続いていたそうですが、火災による焼失、道路拡幅のための撤去などいろいろな理由により、現在はこの中町地区を中心に残るばかりとなったそうです。この地区においてこのこみせによる空間が維持されてきた理由として、酒屋や米屋、呉服店など、現代的な作りに建築を改める必要のなかった業種の商店が立ち並んでいた事からではないかとされています。現在もまとまった形でこのように残されているのは、全国的にも例が少ないといわれています。

こみせ通りに連続する家屋もまた、こみせと同様に歴史的価値のあるものです。例えばその中でも高橋家住宅は、国の重要文化財となっています。その内部は入口から土間がひろがっていて、土間の一角には、現在喫茶スペースがあったりします。また、土間とつながる座敷の奥には、風流な庭が広がっています。この様な空間構成は、中町こみせ通りに現存している古くからの豪商の家屋に共通するものであるそうです。

また、こみせ通りには横道も残っていたりしまして、そこに入っていくのもまた楽しい!例えばですね、高橋家住宅の少し手前を横に入ったところにある横町かぐじ広場です。この広場は、商店街の裏を利用して作られ、こみせ通りを形成する家屋群に囲まれるような形で存在しています。

このようにこみせのある街並みを維持し続けられたのは、地域の人々が一眼になってこみせ通りを保存しようと、商業活動や景観維持に努力を積み重ねてこられたからです。その想いを基礎にした住民組織やTMOによる景観保全、そして外からの来客者を呼び込むことで、地域経営努力を続けてきた結果にあると思います。それもあって、平成17年、ついに中町こみせ通りは「重要伝統的建造物群保存地区」に指定される事となりました。こみせ通りの持つ歴史的重要性・価値が次々と認められはじめています。というわけでここら一体は、全体として統一感のある街並みが形成されています。こみせ通りはこれまで受け継がれてきた良さを維持しつつ、人々が手を取りあってさらに魅力的なまちになろうとしています。すばらしい!また訪れたいです!!

参考)民家・町並み・洋風建築:保存編 (著:草野和夫)

参考)黒石の小見世について (著:鳴海静蔵)

参考)日本の町並み歴史文化遺産下巻(編著:苅谷勇雅、西村幸夫)

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