ブラザー・クラウス野外礼拝堂~原初的で繊細な崇高空間~

この建築はケルンの郊外、というか、ものすごい田舎である小さな村にあります。かなそんな緑のじゅうたんが敷き詰められた上にのっかったようにその建築はあります。丘の上にぽつんと建つ、ほんと小さな小さな野外礼拝堂です。畑の中にポツンと建つその立地も、駐車場から15分歩かなければならないというアプローチなんですが、それがまたいいんですよ。風景をつくってます。建物自体はそれなりに新しいんですけれど、前からあったような建築の存在感がそこにありますね

踏み分け道を進んでいくと、ベージュかかったコンクリートでできた少し変則的な五角柱の建物が目の前に。近づいてみると結構モダンな感じのコンクリートの建物ですね。入り口には三角のドア。これもわりとモダン。その上に小さな十字架があります。

そしてそのドアを開ける56人くらい入れる空間があります。なかはもう、ここは、なんか凄いっす!何もいえねえ。何もない。天井もありません!!そんな天井を見上げてみると、神秘的な光が降り注いできます。ガラスのフィルターがない分その光りは野生的で荒々しいですね。天井が空いていて、雨が入ります。 床には水たまりが少しできていますそして水たまりには天井の開口の光が映り込んでいます。きれいだなあ。感動!内部空間は外観のきれいな印象とは異なり、一見荒々しい印象があります。外形とは別の円錐のような形で荒々しい仕上がりとなっています。

実はですね、この教会、この地に住む老夫婦の依頼で建てられたものです。設計から9年かかって2007年完成したとのこと。そしてこの村の人たちの総出によって、しかもクライアントの老夫婦だけでなく、建築家であるピーター・ズントー本人までもが一緒になって施工したそうです。そうかー、この建築セルフビルドなんだ!

そんなことで、建物の作られ方もちょっと変わっています。壁は112ほどの長い丸太を円錐形のテント小屋のような形に組んで、コンクリートの枠に使っています。その周囲にコンクリートを50㎝ずつ1年をかけて流し込み、最後に内部の丸太を燃やす事で、空間を作っているとのことです。たしかに焼けただれた煤で壁が黒く、内部空間はよりいっそう暗くなっています。その荒々しい仕上げに煤が付着しているので天空からの光は、その黒いギザギザとしている壁をなめるよう降りてきます。

そして壁にある300箇所あまりあるPコン跡には吹きガラスが埋め込まれたとのこと。内側にはガラス玉みたいなものが見えます。天空から降り注ぐ神々しい光が、壁面に埋め込まれたガラス玉に反射し、内部に光が漏れます。なんとも言えない影と光に満ちたとても幻想的な空間です。ガラスの玉から入る光、空の色、雲の動きなど、その天気によって表情があるでしょうねこの光景は時間を忘れます。

荒々しいけど繊細人の手で作られた温もりを感じつつ、原始的崇高な空間。そんな荒々しさのなかに、繊細な空間の理念のようなものが存在しているような気がしましたね

建築:ブラザー・クラウス野外礼拝堂

設計:ピーター・ズントー

建築作品をみた雑誌:a+u20131月号

建築のある場所:ドイツ

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