ヨコハマアパートメント~住人が織り成す新たなパブリック空間~

この建築は、若いアーティストに展示、作業、居住の場を提供する4戸の集合住宅です。若いアーティストには夢のような設定のアパートですね。楽しそうだ!この建築のある場所は横浜市の住宅密集地。 敷地は道幅が狭くて高低差がある。そんな住宅街の真ん中に、なんかこう、新築にしてはラフな外観の空間立ち現れます。そのせいか周辺の雰囲気に溶け込んでいる印象がありますね。

建物に近づいていくと、広場と呼ばれているとても居心地のよさそーな半外部の空間に吸い込まれます。この建築の大きな特徴は、この1階にある大きな共用部!ここでは、アパートの住人が食事したり、アトリエとして創作活動や趣味の活動を行ったりして、住人同士の交流の場にもなっています。

お施主さんは、アーティストのための展示、作業、居住の場をもつ木賃アパートという要望をしました。面白いお施主さんだ!これに対し、建築家は、展示や作業ができる「広場」という空間、そして居住できる「小屋」という空間を提案したわけです。最初、ほんとのところ、建築家はそれぞれの住戸にその場をもうけようと考えてみたらしいのですが、なんかそれだとつまらない、というか空間としてそれがはたして豊かになるのだろうかということを考えた結果、この提案にいたったようです。そのほうが居場所や使い方を状況に応じて、住み手自身が発見していける環境になるのではないか。そう考えたわけです。たーしかに。専有するより、共有したほうが、アーティストという性質を考えると刺激を受けるでしょうね。あと、まとまって使える空間の大きさがちがいますよね。

この1階にある外部の周辺環境と直結した大きな共用空間は天井高はおよそ5メートル、面積はおよそ80㎡ほどあり、半屋外の空間になっています。ピロティみたいな空間ですね。そしてその4つの三角形からなる壁柱によって住戸が2階の高さに、いやそれ以上の高さに持ち上げられています。2階には4つのワンルームからなる居住空間があります。その2階の4つの部屋には、1階の広場からアクセスでき、別々の専用階段でつながっています。この階段の関係性がこの空間に魅力を与えているような気がするなあ。居住者のいい距離感をつくっていると思います。

広場の奥には共用のキッチンがあります。冬場は開口部に高さ5mのビニールのカーテンを閉めることができます。でかっ!ビニールカーテンだけで仕切られた半屋外のつくりがラフでカジュアルー!

こんな自由な場所がある集合住宅であれば、創作活動も、のびのびと行うことができるんじゃないかなあ。なかなかない共有空間のバランスが、集合住宅の新しいパブリックな空間をつくりあげています。自分の場所であって、そううでない。その微妙な関係性や不確定な要素が予想もつかないものを生み出しそうでわくわくします。

実際には、広場はイベントをする場所になっていたり、それにともなって階段が一時的に客席にもなっていたりします。アパートの住人が主催するイベントが開催されたり、近所の方とちょっとしたコンサートを行ったり、アーティストによるアート活動や作品展示を行うことももちろんあります。壁柱には展示物がかけられていたりと楽しそうです!住む人だけでなく、まちの人含め様々な方が利用する、ちょっとした外部的公民館みたいな働きも行われているとのこと。ヒトとヒト、ヒトとコトをつなぐすてきな集合住宅となっていますね。普通のアパートでは受け止めることが困難なことを、この広場は実現してくれています。

広場はまちと外部でつながっている。そこをとおる人との係わり合いも生まれてくる。なんておもしろそうな場所がうまれたのだろう。こういう場がこの時代生まれたことは、これからの時代も捨てたもんじゃねえよ。今のおれたちってけっこうすてきでしょ。そんなことを語りかけてくれているような気がしますね!小さくとも強い、新しいパブリック空間の姿がそこにはありました!!

建築:ヨコハマアパートメント

設計:オンデザイン

建築作品をみた雑誌:新建築20102月号

建築のある場所:横浜市

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