ペイリーパーク~大都市に挿入されたやすらぎと自然の場所~

ペイリー・パーク は、スカイクレーパーやニューヨーク近代美術館(MOMA)が建ち並んだ53番街にあります。わずか13メートル×30メートルの小さな公園で、建物の間にひっそりとあります。1967年に開園したこの公園は、当時のCBS会長のウィリアム・S・ペイリーが、彼の父親の記念碑として小公園を建設することを決め、私財を投じて造った私設公園です。 ランドスケープ・アーキテクト、ロバート・ザイオンの設計によりつくられて、これをウィリアム・ペイリー財団によって管理運営されています。

この彼らの設計原案は、1963年にニューヨーク市の公園協会主催の「ニューヨークの新しい公園」と題した展覧会で発表すでに発表されていました。その提案内容に目をつけたのが、ペイリーさんということです。さすが!

この公園はヴェスト・ポケット・パーク。つまり、チョッキのポケットのように小さな公園というコンセプト。このマンハッタンのいそがしい動きを逃れるために、対照的な豊かさを都市にある小さな敷地に還元することによって達成させたアイデアです。その後空き地に魅力的な空間導入を提供するという方法論は、ニューヨークのいたるところで実践され、さらに全米各地までひろがっていきました。ペイリーパークがポケットパークの契機となり、都市環境に多大な貢献を与えたわけです。そしてこの概念は、都市の空き地の使用の方法論のひとつとして、都市のあらゆる空間をデザインの対象にできるということを証明したわけです。

ポケットパークってなんかいいですよね。でも日本でこれやってもなかなかうまくいかないんだな。

しかし、少し間違った位置にこの空間を作ると薄暗く、誰も入りたくなくなるような空間になってしまいます。その違いってなんだろう?

公園は、スカイスクレーパーのなかで貴重な緑のオープンスベース、憩いの場となっていました。

入口はツインの煉瓦でできたブースによって挟まれています。公園の地面は表通りからわずかに4段ほどステップアップしています。この手法によって、ゆるやかな領域性を内部空間に与えています。絞り込みつつ内部の木立が歩道にあふれ出るように配置されているところが心憎いわあ。通りを歩く人々を自然に招き入れる構えになっているんですね。目の前の街路に並木はないので、遠く離れた場所からもこの木立がペイリーパークの目印となって人々を招いています。

入口にある2つのブースには、コーヒーやサンドイッチなどを売るカフェブースと掃除用具入れが入っています。カフェの店員は管理人も兼ねていて、定刻になるとゲートを開閉します。小さなカフェでは軽食を手軽な値段で買うことが出来ます。アウトドアカフェが公園についてるっていいですよね。通りから直接見える事により、ついこの空間に入りたくなりますよね。

内部に足を踏み入れると、正面の奥には垂直に流れ落ちる高さ約6メートルのカスケードを持った壁が配されています。そのカスケードの水の音が周辺の喧騒をかき消して、自然のやすらぎを与えています。こういう水の存在は、道路からこの公園の魅力に惹かれて、これもまたつい中へと入ってみたくなってしまいますよね。

中央には17本の植栽があり、両側のレンガ壁にはツタがからまっています。これにより、建物の外壁を視覚的に和らげ、かつ緑を空間を増やしていますね。床は舗石がざっくりと敷き詰められています。配置された木立からは、頭上に木漏れ日が注ぎ込まれています。公園には太陽と樹木も大切な要素ですね。そして建物から跳ね返る間接光も重要な光の要素です。木々が天井のかわりにもなっていて、周辺の建物があまりあまり気にならない感じになっていていいですね。

公園のエクステリアとしては、ハリー・ベルトイアのワイヤメッシュの椅子とエーロ・サーリネンの白いテーブルが置かれています。ここでは、自由に動かせるイスと小さなテーブルがあって、どこにでも座ることができるのがいいですよね。

摩天楼の下、水音を聞きながら、木々の下で人々は、静かに読書をしたり、友人と語らいながらコーヒーやランチをたのしむことができる。とても豊かな時間ですね。都市のなかにこういう空間があるってけっこう重要だと思いませんか?

空間が完全に閉じていない、この感じがこの公園の質を豊かにしています。利用者が常にたくさんいることにより、ある程度の賑わいがあることも重要ですね。この豊かさの根源は、まさに都市との関連性にもあるわけですね。周辺の喧騒を完全に締め出すのではなく、適度に引きを取りながらも絶妙につながっているところ、道路との親密な距離感や高低差を適度につくっているのがいいのかな。うまく計画していますよね。まさに都会のオアシスという感じではないでしょうか。ニューヨークという大都市の中に今自分がいることを、この公園の静かさが強調します。「こんな都市のど真ん中で私は今こんなプライベートで快適な時間を過ごしているのさ!」という実感が、このポケットパークにいる魅力なのでしょうね!こんな空間が、きちんと日本の都市に存在することができたらいいなあ。

公園:ペイリーパーク

設計:ザイオン&ブリーン・アソシエイツ(ロバート・ザイオン)

公園をみた雑誌等:PROCESS94 Robert Zion、木洩れ日の庭で(TOTO出版)

公園のある場所:アメリカ、ニューヨーク

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