大英博物館グレート・コート~荘厳な博物館とハイテク建築の融合!~

大英博物館は18世紀中頃にオープンした世界最古、そして世界最大級の博物館です。大英博物館グレート・コートは、その博物館の中央にある中庭を再生することになったプロジェクトです。

その本来博物館の中庭だったこの場所は、博物館完成から間もない19世紀のうちに円形のリーディングルームと呼ばれる図書館閲覧室とそれに付随する書庫の建物に占領されてしまいました。

これらによって、博物館の動線が混乱していってしまうという事態に陥ったんですね。人々はこれらの問題をいつ解消してくれるのかと、長いこと待ち望んでいたわけなんですよ。そこへそれらを取り除きオープンスペースとしながら、中庭を中心に動線を整備しなおす事を目的として、この改修プロジェクトが始まったわけです。

このプロジェクトを指揮したのは、建築家ノーマン・フォスター卿。この大英博物館グレートコートの改修のような設計アプローチは、ベルリンのドイツ連邦議会新議事堂でも見られ(この建築も今度ご紹介しますね!)、そハイテク技術を駆使しながら歴史的建造物を再生するという手法が世界で高く評価されています。

そして現在これらの中庭は、古代ギリシア風の荘厳な建物に曲線を描く巨大なガラスドーム天井が覆われて、それがとても魅力的な空間を演出しています。かつての図書館はなんと特別展示場やレストランへと変貌しています!

このグレート・コートの空間は、広さ100×70mほど。前述した円形閲覧室を中心に、およそ3000枚のガラスが天井を覆っています。とても明るく開放的な大空間にとなっていますね。このような古典建築の中庭をガラスの屋根で覆い、新旧の対比を見せるやり方は、古建築の改修では私も見たことがあります。ルーブル美術館にあるマルリーの中庭とかね。あれもすばらしいですが、この空間はそれよりもさらに感動しますね!ガラス屋根の微妙なうねりが、躍動感のあるダイナミックな空間を演出しています!!

1階がらから入ると、隣接するギャラリー全てにグレート・コートは連絡します。中には、博物館のセンター的役割を果たすインフォメーション、ブックショップ、カフェが入っています。リーディングルームを抱え、壁づたいにのびている2つの大階段を上っていくと、たまごのようなかたちをした中間階が2層あります。下のフロアは展示などに使い、上にはレストランがあります。コート下の階では、セインズベリー・アフリカ・ギャラリー、オーディトリアム2部屋を備えていて、エデュケーションセンターや、新しく学童向けの設備もできています。このグレートコートが完成したことによって、展示室へのアクセスが四方に確保され、インフォメーションやカフェ、ショップ、レストラン、トイレなどの機能も集約して、広くて複雑だった博物館の動線がとてもすっきりとしたものになりました。

そしてこのような空間構成を実現できたのは、この空間を象徴する、ガラスのキャノピーからなるドームです。これらは、最新のエンジニアリングとシンプルなフォルムの融合によって構成されています。小さな三角形パーツを集めたこの形状は、円筒状のリーディングルーム壁面と中庭に面する建物の間が不規則に空いてしまうのを防ぐために考案されたものです。ありきたりな表現だと均質になりがちなトラス空間を、密度に変化をつける事で動きのある意匠としています。スチールの骨組みはガラス枠にもなり、キャノピーを支える構造体にもなっています。さらにガラスは紫外線をカットする遮光タイプのペアガラスを使用していて 、自然光をとりこみながら、直射日光による弊害をできるだけおさえています。しかも昼には光を通して中庭を明るく保ち、辺りが暗くなるに従って曇りがかってくるという仕組み。これがなかなかいい!ハイテク!!

今まで建物外壁として雨風にさらされていたファサードが綺麗に磨かれて今では博物館のインテリアなっています。中庭をガラスで覆いつくすというシンプルなアイデアによってこれだけの空間をつくりあげています最先端技術が駆使されたガラス屋根の空間に新たな動線だけでなく、都市という場所に、威厳あるアメニティ空間が生まれています。エクセレント!

建築:大英博物館グレート・コート

設計: ノーマン・フォスター

建築作品をみた雑誌:a+u20021月号(p100-109

建築のある場所:イギリス、ロンドン

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする