小説おすすめ5作品(建築をつくる登場人物が出てくる編)

今回は小説などを取り上げてみたいと思います。小説といっても、ちょっとテーマをしぼって、その中からおすすめ作品をとりあげてみたいと思います。今回は小説おすすめ第一弾ということで、ずばり、建築家、建築をつくる登場人物が出てくる小説をおすすめします。しかしながら意外とこれが少なくてですね。今回あげた他にもいくつかあるんですけど、おすすめするほどではないな(えらそうにすみません)と感じるものが多いわけでありますよ。もう自分で今度書いちゃおうかなと思ってます(重ね重ねえらそうにすみません)。いずれね!

1.火山のふもとで

 (著:松家仁之、新潮社)

若い建築設計事務所のスタッフが主人公の小説です。主人公は大学の建築学科卒業後、尊敬する建築家の設計事務所に入所します。この事務所では、夏になると軽井沢にある山荘の仕事場を移して共同生活しながら仕事をする慣習になっているんですよ。いいなあ^^。そんな設定を中心にしながら、図書館のコンペに出品する作品をスタッフ一丸となって作り上げたり、恋愛したり、尊敬する建築家の先生と過ごした時間と先生からの言葉など、小説の醍醐味がいろいろと堪能できます。話の中でコンペに取り組んでくれるのがうれしいですね!そして浅間山を仰ぎ見る軽井沢の季節の美しい描写や、山荘で流れる音楽のセンス、食べている料理も美味しそう。軽井沢に住む人たちのとの交流もいいんだな。 上質な建築の設計のような緻密さがこの小説の魅力となっています。この小説を書いた作者は建築の勉強を相当されているなというのが、読み終わってからの印象。建築家を登場人物にする小説のほとんどは、描写をつめればつめるほど気になる粗みたいなのが見えてきてストーリーに集中できなくなるんだけれども、この小説にはそれがほとんどなく、ストーリーに没頭することができました。良作です!

2.粗い石 ル・トロネ修道院工事監督の日記

 (著:フェルナン・プイヨン、訳:荒木亨、形文社)

修道士でありながら建築家の魂を持った人物の、僧院建築の工事監督としての日々を綴った日記という形の小説です。正直とても読みづらいです。翻訳が悪いのか、文のフォントが悪いのかよくわからなかった印象がありますが、逆にいうと、この読みずらさ、つらさが、この日記の中の苦労を物語っているようにも感じられたという見方もできました。教会と職人の間に立ちながら、時には修道士、時には現場監督として振る舞い、その葛藤の中を力強く生き抜く主人公の姿は現在だからこそ仰ぐべき建築家像です。 ル・トロネ修道院まだ行けてないから行ってみたーい!

3.五重塔

(著:幸田露伴、岩波文庫)

五重塔建立に一身を捧げる職人の話です。登場人物は、職人気質で気の利かない、のっそりと呼ばれる大工の十兵衛。不器用だが自分の腕を信じ、ただ愚直に、人に理解されず蔑まれようとも、手を抜かず、義理も人情も捨てて、自分が信じる道を邁進する姿にその職人の魂を感じます。 そして十兵衛の非礼・忘恩に憤りながらも、義理と人情に生きる江戸っ子を絵に描いたような親方大工の源太。彼のもつ職人の気質は、とても爽快であります。恩ある親方との対立にも全くゆるがない十兵衛の仕事への意気込みは、図面一枚、釘一本、手ぬかりはありません。まさに職人の鑑。その五重塔建立を巡っての二人の大工の対比が、文語体で一見読みづらそうなのですが、意外にもリズミカルな文体でありまして、その世界にぐいぐい引き込まれます。その筆力に脱帽です。なんだろう。これが文豪の実力か!さすが文豪!!

4.地図と領土

 (著:ミシェル・ウェルベック、訳:野崎歓、ちくま文庫)

この小説の主人公は現代アーティストです。そしてそのお父さんが建築家、というか大手の設計会社の経営者というほうが近い人物なのですが、そのお父さんが彼の創作活動のひとつのキーパーソンにもなります。その主人公の彼とそのお父さんとの会話からは、若い頃はデザイナーであるウィリアム・モリスにあこがれたはなしであったり、反対に近代建築の巨匠であるル・コルビュジェの考え方を批判したり、でもそれは自分が成し遂げれなかったことに対する嫉妬そいうか羨望も思わせながらもなど。建築好きとしては、この場面は話のなかで印象的なところのひとつでもあります。でもこれは読んでいると登場人物を通して作者の考察や偏愛が多くをしめていることに気づきます。それはこの小説の中で様々な分野の視点で語られています。それらがストーリーの中でうまく整理されて語られているところに、この作家の力量の大きさを感じ、舌を巻いてしまいますね。

というわけで、ここでは話の中の一部の感想をここではとりあげているだけですが、私が一番この作品に感銘を受けたのは、この主人公が作り出す芸術作品の描写がすばらしいことです。この作品群は視覚を主にしたものがほとんどといっていいのですが、文章でこれほど表現されているものを私は読んだことがありません。そして実際この作品を見てみたいと思いましたね。この ミシェル・ウェルベックという作家、これからもマークしたいと思っています!訳も内容のわりに読みやすかったです。

5.猫の建築家

 (著:森博嗣、光文社)

猫好きなのでとりあげてみました。絵本です。詩的な言葉で語られる猫の建築家としての哲学。古いまちをながめらがら、まちを想う猫そして移り変わる季節。もしかしたら猫は猫なりに自分のいる世界を私たち以上に大切におもっているとともに、その変わっていく景色や未来を暗示しているのかもしれないなと想いました。猫は職業としての建築家ではなくとも、そのまちを形成するためのあるピースであるのかもしれませんね。イラストも良いです!

次回、他にもおすすめの小説をとりあげてみたいと思いますのでお楽しみに!

※コメントの文章とおすすめ度合いは比例します(笑)。

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