出雲大社庁の舎~荘厳な社殿との調和と対比~

この建築は、出雲大社の境内に建つ出雲大社の社務所および宝物殿としての施設として建てられました。「庁の舎(ちょうのや)」と読みます。「庁の舎」とはその名の通り庁舎のことで、言い換えるなら社務所、事務所、オフィスのような意味合いをもちます

雑誌ではじめてみたとき、出雲大社の境内にコンクリートかよ、と思いましたが、どうやら、前庁の舎が焼失たことから建物の不燃化が求められ、コンクリートが選択されたようです。なるほどそれならしょうがない。当時は焼失した出雲大社境内の庁の舎の再建計画だったわけか。

現地では、ほんとあの伝統的な大屋根としめ縄がある出雲大社の社殿のすぐお隣に建っています。しかしながら、私は最初訪れたとき、気が付かずに通り過ぎてしまいました。つまり、この建築はその場になじんでいました。ほんとに。よく見ると建物に異彩をはなっているんですけれど、白砂利敷きの境内の隅に、ひっそりと佇んでいるその姿が不思議に思いましたね。

その建物を特徴づけているのは、明快でダイナミックな構造形式の表現です。側面の壁が梁にもたれ掛かっているような外観は出雲地方の稲掛けという、稲穂を干す形ををモチーフとしています。大社の本殿は古代の住宅に由来しているらしいので、この掛けをモチーフにしたのかな。稲って天日で乾燥させますからね。

そしてこれらをプレストレス・コンクリートという工法によって柱間長さおよそ50mの2本の大梁を両端の柱に架け渡しています境内では現場打ちのコンクリートが使えないためこの工法が選択されたとのこと。様々な条件と制約の中で、その当時の先端技術が使われている建物なんですね。すごい!そして梁にはプレキャストコンクリートの方立が寄せ架けられていて、さらにその間にPCコンクリートの横桟がはめ込まれています

細かいパーツの組み合わせや、斜めの突起で表現している壁模様も、この工法ならではの細かさですよ中には入れなかったのでちらっと外から内部を見ると、桟つまりはルーバーですね、その隙間からもれる柔かな光に満たされていました。

これらの部材を工場で生産し現場で組み立てる計画とした、その現代的な構法での先端技術を盛り込みつつ、日本の木造建築がもつ解体・組み立てができる更新性を再解釈したわけか。なるほどこの建築の考え方があって古典的秩序を持った出雲大社本殿との対比と調和というバランスが表現されているんですね。すごい深く考えられているな~。未来的であって古典、でもなぜかそこには、日本的な空間が成立していたように感じます。菊竹清訓 の代表作!!

そんなこの大建築。何と取り壊しになるなんてとても残念です。古くなっているのはわかるけどなんとかならんもんかなあ。現在は建物の中にある用途は完全に移転して、内部は使用されていません。外観のみ見学が可能です建築的記念碑としてでもなんとか!それか、また今の新しい技術でこの建築を組み立てるとか。そのほうが何十年かに一度建て替える社殿の考えとあっているかも。とにかく、この建築としての考え方をこの場所に残していきたいですよね!

建築:出雲大社庁の舎

設計: 菊竹清訓建築設計事務所

建築作品を見た雑誌:CASA BRUTUS、新建築20125月臨時増刊 菊竹清訓

建築のある場所:島根県出雲市

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする