ラ・クンジュンタ 彫刻の家~無骨で純粋な光の箱~

この美術館は、スイスの南部に位置するジョルニコという小さな町にあり、彫刻家ハンス・ヨーゼフソンの彫刻作品を展示しています。このただ一人の作品のみをおさめた美術館としてはめずらしい。と思ったら、この美術館を設計した建築家ピーター・メルクリ の友人とのことです。なるほど。そんな20世紀の彫刻家ハンス・ヨーゼフソンを親しむための建築です。この建物は来訪者がいないときは、施錠されています。町にあるカフェに行鍵を借りて見学者が施錠をときます。建物は、カフェから徒歩圏内の場所にあります。

ブドウ畑にこの建築はぽつんとたっています。この建物が建設された場所は、建築家によって選ばれたとのことです。その姿、外観は、もうまるで倉庫みたいです。建築はコンクリート造で、建物のコンクリートの表面の仕上げはことごとく粗い。そこには無骨で素朴な建物で非常に雰囲気があります。コンクリートのヴォリュームというか塊という表現が適切かもしれないですね。でもなんだか美しく感じてしまうのはどうしてなんでしょうね

内部空間はは三つの部屋で構成されていまして建物のプランは、長軸に沿って順を追って組み立てられています。幅が同じ3つのメインスペースがあり、そのうちの第2室と第3室は同じ奥行きで構成されています。そして第1室にくらべ、第2室は天井は低く、第3室は天井は高くつくられています。それぞれ部屋のプロポーション異なっています

屋根は鉄骨の構造で構成されていて、屋根構造といっしょに構成されているハイサイドライトからは光がもれ、展示室に光を与えています。そして、他の小さい全ての部屋に等しくハイサイドライトが取り付けられており、その空間には光が落ちています内部空間も外部同様、現場打ちの鉄筋コンクリートで構成された空間はどこまでも荒々しい。全て同じ素材が使われていますが空間のプロポーション、つまり寸法の違いで、それぞれの部屋の印象はまったく異なって来館者にはうつります。天井の高さの違いで、室内の明るさには変化が生まれているわけですね3つのメインスペースに配置された3つの扉のない出入り口は中心からはずれた位置によって、均一な空間にずれをほんの少し与えています。断熱もなく必要最小限な灯り。水道や暖房設備はない。本当に非常に簡素なものになっています。そんな荒々しくつくられたその建築は、彫刻といっしょにまるで土にかえる準備をしているようにも感じてしまいます。

展示されているブロンズの彫刻作品は、一見同じようにみえてもそれぞれの異なる質感を帯びています。その違いによって彫刻は様々な印象を与えます。これは、この建築にもいえますね。荒々しいコンクリートでそれぞれの空間は、展示作品と同じようになんとも無骨だが、シンプルで純粋。その作品と建築の印象のシンクロ、ブドウ畑と倉庫のような塊の荒々しい建築。何度も言うようにこの建築と彫刻は一言でいうとやはりなんか無骨だ。その無骨さと純粋さは光という自然の要素がそうさせているのかもしれません。そんな美術品と建築が同等となって対話しながら、彫刻の存在と建築の存在を同化させている。そこに何か美しさを勝手に感じてしまったんだな~。私は。

建築:ラ・クンジュンタ

設計: ピーター・メルクリ

建築作品をみた雑誌:a+u20081月号

建築のある場所:スイス、ジョルニコ

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