ラ・トゥーレット修道院~師匠と弟子の融合による最高傑作~

この建築はフランス西南部の中心都市リヨンから鉄道で40分ほどの田舎にあります。設計はもちろん言わずと知れた建築界の巨匠。 様々な建築家からリスペクトされる。ル・コルビュジェ。この建築は彼の円熟期の集大成ともいえる作品のひとつであります。

丘の斜面に沿うように建つこの建築の外観は、垂直と水平の直線だけの矩形としてデザインされています。これによって、ゆるやかな斜面の自然と対峙した建築の力強さのようなものが表現されているような気がします。敷地が敷地なだけに4周が建築の正面になりますね。緩やかな広い丘陵にたつこの建築、のぼりの山道の北北東からアクセスします。

立面を見ると、屋上には台形の鐘楼をおき、下部には地下礼拝堂のふくらみをみせる北面。東面は3階が玄関、4,5階は階高の低い僧房部分、黒い自然石仕上げPCパネルがハーモニカ状になったバルコニーがあります。南面は2層の僧房階が回りこんで、その下に階高の高い教室がみえます。足の長いピロティでもちあげられていますね。西面は、階高の高い2階の食堂、3階の教室群、その上4,5階に高さは同じでも、開口が相対的にゆったりとした寸法でつくられている教授神父用個室のハーモニカ状開口のあります。ここ西面は2,3階につくられた「波動リズムガラス面」と「音楽的ガラス面」と呼ばれる窓が特徴的です!その1/f揺らぎのようなランダムなピッチでもうけられた細いPCコンクリート方立てによる床から天井までの大きなガラス面はとても美しいです。む、北側には大砲みたいなものがあるな。ふふ。これは天窓です。

そして本館とはちょっといい感じの距離感の位置に聖堂は配置されています。内部空間を見ると、まず聖堂右奥にある縦型スリット窓は空間にドラマチックな闇と光の演出がなされていますね。聖堂の北側の巨大な壁画の下部に張り出したサイドチャペルには3つの大きな天窓が。これは通称「大砲の天窓」。一番明るい部分に祭壇が配置されていて、内部を原色に塗られた天窓のひかりがいい感じに空間を演出しています。ちなみに似たような名前で聖堂の聖具室に光を落とす通称「軽機関銃の天窓」があります。開口は夏至の太陽の軌道に向けられています。

45階にある修道僧用個室と教授用個室は、中庭側の廊下から共通の奥行きをもってコの字型の外部に向かって展開し、外部にはバルコニーがあります。修道僧用個室は現在は訪問者用に解放されていているとのこと。ちなみは私の友人が泊まって、とてもよかったといっていました。

中庭の芝生がコンクリートの壁面にはえている様子は、庭園都市みたいですね。語彙が乏しくすみませんが、ラピュタみたいです。中庭からみた3段の市松模様の開口のリズムとのバランスもなんかもうセンスですね!

ちょっと大開口のデザインに戻らせていただきます。波動ガラス面、音楽的ガラス面のエピソードをひとつ。このピッチは、ル・コルビュジエが人体の寸法と黄金比から作った建築の基準寸法の数列である「モデュロール」によって決められています。そして、この現場を担当することになったのがヤニス・クセナキスという人物。彼はその後に音楽に数学的アプローチを用いた前衛音楽家として世界に名をとどろかすことになります。当時、構造エンジニアとしてル・コルビュジェの事務所に在籍していたのは有名な話。現場の担当者に抜擢された彼は、その才能満載なひらめきでこの建築を最高傑作のひとつにのしあげたわけだ!昔の人はすげ~な~。担当したことによってル・コルビュジェにも良い循環が生まれたということだそうな。

この建築ではル・コルビュジェの近代建築5原則ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面これらが経験をかさねてブラッシュアップされ、発展したものなのです。そして別分野において際立った才能をもつスタッフの力によって最高傑作となったわけです。私は彼の作品のなかではこの作品が一番好きかな。

建築:ラ・トゥーレット修道院

設計:ル・コルビュジェ

建築作品をみた雑誌等:ル・コルビュジェ ラ・トゥーレット修道院(banana books

建築のある場所:フランス、リヨン

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