城戸崎邸~外部空間が立体的に構成された迷路的3世帯住宅~

この建築のある敷地は都心部に近い閑静な高級住宅街にあります。何か異様にでかい住宅だなと最初思っていましたら、よく図面を読んだらなんと3世帯住居ということで理解いたしました。しかし、ご夫婦それぞれの親御さんと同居なんてその事実がまずすごいなと思いましたね。そんな設定ありえるんですね!この経緯も興味ありますね。建築名称は「城戸崎邸」。名前書いちゃってるよ。著名な方?そう、お施主さんは数々の作品を生み出している建築家ユニット、アーキテクトファイブの 城戸崎博孝氏。というか建築家が建築家に依頼!と思いますよね。ふところが深いなあ。器の大きいかただ!そう思いながらも文章を書こうとしたとき、あ、そうか、とも感じました。両方の親、そして奥様を相手に住宅を設計するんだと。板ばさみどころではない。もしご主人がその役を設計者として引き受けたら。。う~ん、たしかに誰か他の建築家に頼むという気持ちもわからなくはないなあ。。。

少しおはなしの主旨がずれていきそうでしたね。すみません。さて、はなしを戻してこの作品を読んでいきましょう。この空間は、しかしあれですね。3世帯住宅というか集合住宅という体に近いです。見ればみるほど複雑な空間ですね~。この出入り口や住宅同士の接続部分からなる家族の動線計画は、ふむふむなるほど。おそらく多くいるご家族というか世帯主ごとの関係性にそれぞれ配慮がなされたわけでしょう。たいへんだ。

建築は敷地の四辺を高い壁で囲った閉鎖的な空間がつくられています。道路に面した一辺だけは円弧状の壁が立ち上がっていて、それが奥にあるエントランスへと導いてくれます。この円弧状の空間がなめらかに奥にひきこまれてまたいいですねえ。内部は中央に三層の箱が置かれ、その周囲にサンクンガーデンやテラスなどの外部空間を階段状に設けています。中庭を中心に住宅空間がつくられて、発展していっています。外部空間の立体的な配置によって、それぞれの世帯の外部空間がつくられ関係しあうようになっています。それぞれのプライバシー空間と同居しているという、ある種の安心感というか、満足感というか、それらを大きな閉じられた壁による中庭空間で解決しているような気がします。それがそれぞれの世帯のプライバシー空間を確保するとともに各住空間に自然の要素を取り入れていますね。

囲われた外部空間には、わずかな日の光や、季節のうつろいを感じ取ることができる場となっています。北側の前庭と南側の中庭には、以前の自宅ではえていたものと同じ樹種の樹木がおかれていて、その記憶と季節のうつろいを感じることのできる風景を演出しています。また庭園の感じがコンクリートという素材で美しく抽象化されているというか。そして、それぞれの部屋の開口部が中庭に面しながらも視線が合わないように、いろいろな開口の検討を行っています。低いもの高いもの。内部も階段も多く、複雑にみえますが、なんかそれがまたいい!おさまりも細部まで、しっかりつくられています。さすが建築家の住宅だけあって、気合入っています。

建築家はある建築空間の迷路性が生活を豊かにするのではないかという考えがあったようです。

これはあながちありえると思います。住宅として閉鎖的に自分のプライベート空間をつくりたいと考えたとき、この考え方は施主の頭を構成するものとなり、それが愛着につながることにもなると私も考えます。そして他人が訪れるときにはその迷路性が空間を体験する楽しみにもつながると思います。しかし、それは商業施設ではどうかというと。どうか。それは同じ考え方でできている他の作品をみてみてください。建築としてはおもしろい発展ある空間でも、プログラムとの相性によってその魅力が左右されるということがわかります。

安藤建築の原点とされている住宅建築作品であり、安藤忠雄の住宅の最高傑作との呼び声も素直にうなづけるなあ。と思いました。見ればみるほどいいんですよ!というかこのくらいのスケールの安藤建築いいよな~。

建築:城戸崎邸

設計:安藤忠雄建築研究所

建築作品を見た雑誌:GA71、家(著:安藤忠雄、住まい図書館出版局)、TADAO ANDO DETAIL‘S

建築のある場所:東京都

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