ROLEXラーニングセンター~キャンパスを丘と谷の空間でつなぐ~

この建築は、スイス連邦工科大学ローザンヌ校のキャンパス内にある多目的学習センターで、図書館・ホール・オフィス・カフェ・レストラン等の多様なプログラムをもつ施設です。隣のローザンヌ大学の学生や一般の人にも開放されていて、このキャンパスの核となるような施設となっています。「ROLEXラーニングセンター」という名称は、建設の際、ロレックス社が一番多く出資したためとのこと。この建築の特徴的なのは、2万平米(175.5×121.5m)の大きなワンルームの中に、仕切りなく配置されていることそしてこれらを繋ぐ空間の床は水平面がほとんどなく、緩やかなカーブ面や、傾斜面になっていることですね!

こんな空間になった経緯は、こんな感じ。この大学の既存キャンパスは、おもに1970年代にできたものです。その校舎のほとんどは廊下に対して部屋が並ぶ標準的な教室型。キャンパスはその建物が反復して並んでいるだけ。そんなこれらの殺風景な集合体が構成されている風景の中で、中心を感じられる場所として、新しい学びの場の提案が求められました。学長は、分散した各学科の建物で勉強する学生が同じ場所に集まり、情報交換や研究を行う交流の場をこのラーニングセンターに期待していたそうです。そして2004年に国際コンペが行われ、著名な建築家の案のなかからこの案が採用されたわけです。

建築家は、何層にもなる建築だと図書館やカフェなどがすべて別々の階になってしまって、それぞれの機能を横断する交流ができないだろうとまず考えましたどうしよう。なるべく同じレベルにした方が自然なコミュニケーションが生まれるだろう。ということで最終的には大きなワンルーム空間をつくることで、機能がネットワーク状に関係しあい、みんながその空間の中で一緒にいられるような居場所を提案しました。街の中心広場のような場所を、建築空間としてつくろうとしたんですね。

周辺施設からはアクセスしやすいように、建物は前述のとおり1層のワンルーム空間になっています。この空間が面白いのはその空間が内部ではあるが、丘のように上がったり、下がったりする空間になっていることです。緩やかに床や天井は隆起しながらも、その室内空間に、地形的な空間が生まれ、キャンパスとつながるランドスケープ空間が内部に生まれています。プランも等高線みたいな表現になっている箇所もあっておもしろい!2つの波が平行に流れているような屋根と床の形状は、平地から丘に向かってしなやかに伸びるこの土地の地形をうまく取り入れていますね!

施設内で一番高い場所にあたる図書館となっています。丘のように上がった空間はレストランや、勉強のスペースになっていたりします。空間内の高い場所からは外の山やレマン湖などが見えます。谷のようになって光庭が接しているところには、オフィススペースがあったりします。傾斜のあるところに階段教室をつくったり、谷になるところはカフェなどの溜まりとなる機能を置き、機能に合わせて地形をつくっています。たのしー!!機能とかたちが相互に影響し合いながら空間を構成していますね。床が一部が持ち上がっていく空間は、人びとは建物の下を横切っていくこともできるし、中に入っていくこともできます。なるほど!スロープ的な持ち上がり方が、内外の連続感をつくっています。ということで建物をくぐった真ん中にはメインエントランスを設けられ、建物下のオープンスペースがエントランス広場となっています。大きな建物なのですが、キャンパス動線のじゃまとならないように、キャンパスへ向かう途中でも建物に自然に入っていけるように提案されているんですね!自然の中では、谷や湖畔に村ができるように地形によって住む場所が分けられています。この場所でもその地形による住み分けの方法が使えるのではないかと建築家は考えたわけです。面白すぎる!!

建物に14個のさまざまな大きさのガラスで囲まれた中庭空間が組み込まれています。この中庭はどこにいても室内と屋外を視覚的な関係性が生まれる、開放的な空間を作り上げています。普通、中庭、外から切り離された、建物に囲まれた閉じた場所となってしまいますが、この建築は建物の床が空中に上がっていくので、庭はそのまま外へとちながります上下でオープンな中庭になってしまってます!閉じたような開いたような中と外の関係が生まれています。これ面白い発見ですね!

こうした起伏のあるワンルームのかたちは、構造家との協働で実現していますたくさん模型をつくって、コンピュータプログラムで解析して、最終的なかたちを模索し、調整されていったそうです

そしてワンルームによる音の課題、いろいろなエンジニアの方のシュミレーションの結果を見ながら、床と天井の勾配と庭の位置、素材と仕上げの切り分けで調整したそうです施工においても、窓ガラスにおいてはそのほとんどがそれぞれ形が違う。一度床がカーブすると、それに合うようガラスもカーブするなど。その箇所その箇所で建て方の工夫を必要としたでしょうね。複雑な技術が必要だった工事大変だったでしょう。よくつくってくださいました!

この建築は使う人が望めばどこまでも歩いていくことができる空間になっていますそれは自分が働きかけることで発展していくような建築。それは大きな公園のイメージでもあり、そこで、色々な対話が生まれ、学生や研究者たちの自由な交流が生まれる。キャンパスという場所に、そんなこの空間はとてもあっているかもしれないなあと思いました。道であって室内。人がゆきかいながら集まる。大学のキャンパスってそういうところでの人と人の出会いや交流が面白かったりするんだよな~。

建築:ROLEXラーニングセンター

設計:SANNA

建築作品をみた雑誌:新建築20109月号(p68-81

建築のある場所:スイス、ローザンヌ

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