六甲の住居~敷地を深くみることで生まれたガラスのLDK~

この建築は六甲山の中腹に古くから広がる住宅地にあります。422項道路と指定された階段。図面でみると、え、これまじで!と思わざるをえない、そんな突き当たりの花崗岩でできた擁壁の上にあります。

建物の背後には、10メートル以上のコンクリートの擁壁があり、まあ、これは崖といったほうがいいですよね。これは。その崖を背負っていて、敷地の眼前には神戸市街から紀州半島、和歌山の山並みまで見渡せる瀬戸内海の光景が広がっています。いいロケーションだあなあ。そして施主は独身男性。そう、独り住まいの住宅です。なんか友人たちとわいわいやれそうな透明な土間空間が楽しそうな印象の住宅です。

敷地は急な斜面地であるので、広い敷地のわりに建築を立てる範囲に限定があったみたいです。広い敷地ではあるが急な地形のために重機の搬入が難しく、施工は人力に頼らざるを得なかったとのこと。杭打ち工事も不可能なため、手作業の基礎工事を考えながら、擁壁からの距離を確保して計画してみたら、残された敷地は3.5×13.5メートル四方の平面が残ったとのこと。そこに立てた建築は、もちろんぎりぎり3.5×13.5メートルの平面が立ち上がる建築。

さて、建築は、周囲からの視線が気にならない立地関係であったことから、1階は擁壁に遮られて視線が届かないという利点を建築家はみつけました。お施主さんの要望は、時には来客をもてなし、時には友人と音楽制作やものづくりをするなど、多様な使い方が可能なラウンジやスタジオのようなスペース。なんて自由な。いいなあ。そして、下からの視線が届くことがない1階は全面がガラス貼りとしたわけですね。大胆ですね!周囲の風景が目いっぱい入り込んできます。そしてこの空間は、セミパブリックなLDKのような空間になっています。お友達がいかにもあつまってきそうな空間だ!そして、キッチンと来客用のトイレだけを置いて、よりセミパブリックなさまざまな使われ方を想定した空間にしたわけですね。この場所に友人を呼んで、もてなしたり、音楽制作したり、自転車いじったりするようです。いい空間だ。楽しそう。私もお友達になりたい(笑)!

そして2階は居住スペース。プライバシー空間。お施主さんはテレビなどを見ながら長風呂を習慣にしているため、寝室と一体化して使えるガラス張りの浴室を提案しています。収納はガラスの間仕切りを配し、光を分解する特殊なフィルムを貼って視線をコントロールしています。

家型のかわいいシルエットは高度斜線と周辺の山並みにあわせたとか。2階は高度斜線制限をかわしながら、古くからのまち並みに佇むような家型にし、棟を高く持ち上げています。

この敷地だからできたこの構成は、眺望という敷地要素だけでなく、敷地を内部に入れこみ、そして敷地全体に開き、お施主さんのライフスタイルに連動していったわけです。その住宅の開き方が自由な空間となっていますね!お施主さんと敷地の個性が相乗効果となって生まれた住宅建築だと思います。

建築:六甲の住居

設計:タトアーキテクツ

建築作品を見た雑誌:新建築住宅特集20122月号p100-107

建築がある場所:神戸市

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