チバウー文化センター~環境と文化が融合した土着的建築~

最近では人気の観光地ともなっているオーストラリア南西に浮かぶ小島の国、ニューカレドニア(フランス領となっています)。チバウー文化センターは、そのニューカレドニアにある複合文化施設です。 ジャングルから自然と生えてきたかのような、植物を思わせる建築ですね。この建築フランスからの独立運動(この島は今もフランスの植民地なのですが)の指揮に立ったニューカレドニアの民族解放運動の指導者1998年に亡くなったジャン・マリ・チバウーの業績を称え建設されたものです。敷地内には彼の銅像があります。1991年に行われた国際招待設計コンペで建築家は勝利し、1998年に建物が完成しました。

フランス政府の経済的援助を得て、多文化との交流を目的に世界に紹介するために計画されたチバウー文化センターは、敷地は中心地ヌメアの東の突端、マジェスタ湾と潟で三方を海に囲まれた美しい自然が広がる場所に位置しています。その自然の環境の中に馴染み、ひっそりとしながらも、悠然と建っている建築の姿はまるで昔からその場所にあったかのようです。施設は先住民による民族芸術の展示スペース、マルチメディア図書館、カフェ、会議室などのプログラムを含む、文化博物館とでもいいましょうか

さて、その建築を見てなんとも目を引くのは、さきほどから文章でふれております木材で作られた幾つものカーズ(Case:仏語)です。この言葉は 英語のhatを意味するそうですこれはこの地カナックの伝統的な住居であるわらぶき小屋をモチーフとしてイメージしたものだそうです。 大小10棟建っていて、カナックの文化の発展を願うことからいずれも未完成のような表現としているようです。建てる場所と道だけを切り開いたような土地に建築は合わせる様に建っています。ニューカレドニアの風景のシンボルである円柱形の松などに囲まれてランダムなカーズの配置がなんとも言えず周囲の自然環境に調和していますね。その形状は、ほぼ円形で、足元が狭くなっており、貝のような、パイナップルをナナメに切り落としたような、そんな形状ですね。

この建築の設計の主な要素はサイクロンによる強風にどう対処するかということでした。この建築海へ突き出た半島に立ち、その片側は太平洋、反対は半ば湖のようなサンゴ礁 にはさまれています。建築の配置計画の時には外海からの風が顕著であったのでのこと大きく考慮されました。

またこの建築の設計のもうひとつの大きなテーマは、空調機械に頼らない、自然換気によ快適な屋内環境を保建築をつくることでした。 なぜならこのニューカレドニアという地では空調機械は輸入して購入する必要があり、メンテナンスにもコストがかかるためです。そこで非常に高度な組織技術を持っているこの建築家チームは、可動ルーバーペア柱によって作られる空気層を用いて、あらゆる外気状態に対応できるようなシステムを提案しました。空気が自在に循環するダブルスキン構造がこの外観に特徴を与えているのですの形状は、この自然換気を達成できるような形状として計画されたものなのです。空気の流れから建物の形が決まった、というのはとてもおもしろいですね

改めてカーズを中心に建築ながめると、その姿はジャングルに見事によく馴染んでいますほんとうにまるで地面から生えてきているかのようです。 空調設備に頼らない室内環境を作るために、理論で作り出した建築ながらも、その最終的な形態は、まるで建築家のフリーハンドスケッチがそのまま実現したかのような有機的なものに仕上がっています。細かいディテールにも美しい仕事がされています

木製でルーバー状になったカーズの表面は、遠くから見ると光の当たり方でゴールドに輝いています。複雑な政治上の背景があるため、チバウ文化センターはカナックの文化とフランス文化の和解を現わす必要がありました建築家「カーズ」と呼ばれる建物と、それらを結ぶ道によって成立しさせましたこれからの文化の発展に上手く答えることができている現代建築だ!と思います!!

建築:チバウー文化センター

設計:レンゾ・ピアノ ワークショップ

建築作品をみた雑誌:a+u19988月号、a+u20109月号

建築のある場所: ニューカレドニア

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