聴竹居~土地に根付いた真のモダンな日本住宅ここにあり!~

京都市内から南西にはなれた大山崎の天王山。その麓にこの住宅はあります。何年か前に、京都に滞在中であった天皇・皇后両陛下が訪れたことでも話題になったと思います。敷地からは、淀川へと続く桂川、宇治川、木津川の三つの川が合流する眺望が開かれた自然豊かな土地です。そのなかでもこの住宅は、一番見晴らしの良い場所に位置しています。

建築家はこの大山崎の土地におよそ一万二千坪の敷地を購入し、いくつかの実験住宅をつくりました。なぜこのようなことを行っていたかといいますと、温度や湿度、通風となどを計測し書物として発表していたからです。財力ありますね!この住宅はその五回目に設計された実験住宅です。彼は、理論と実践によって日本の住宅空間を追求した人なのです。環境ということが議論されている昨今、この住宅が今も残っている意義はたいへん大きいと感じています。

そしてこの聴竹居という住宅建築は、環境工学という視点のほかに、そのプランニング、意匠という点でも非常に興味深い考察をもった建築でもあります。

建物の構成としては、居住の場である「本屋」、書斎・アトリエとしての「閑室」、そして茶の湯の中心とした趣味の場としての「茶室」の平屋3棟とからなっています。平面を南北に細長く雁行させ、西風の多いこの土地の特徴を生かして風通しをよくするとともに、平面計画にリズミカルな奥行きをつくりあげています。そしてこの住宅は、どの部屋にも通気性がよくなるように欄間がもうけられていて、障子を立てこみ、そして縁側、調理室、廊下に天井排気口を設けることで風の抜け道を確保しています。周囲の部屋は可動式の建具が多く、空間のフレキシブルさと、見え隠れする奥行きある空間シーンをつくりあげています。現代でよくとりいれられている家族の雰囲気がなんとなく感じられるワンルーム空間がこの住宅においてすでにつくられているわけですね。

ちょっとメインの部屋をひとつとりあげてみましょう。客室は、椅子式の洋間ですが、和の空間要素である床の間が配置されていて、そのバランスがなんとも絶妙ですね。客室に入ると自作の机と椅子が目に入ります。椅子は着物を着た女性が座りやすいように座後ろを大きく開けてあります。椅子からの高さからの目線を意識してその床の間の高さを設定しているところも演出がにくいですね~。目に見えないところにまで配慮がされています。使われている材料は木、竹、紙という日本の伝統的な材料が中心となっています。

外の土台には風穴を開けて、中に通しているという仕組みがなされています。 まさに床下のクールチューブですね!屋根の軒先の角度を調節することで、室内に入り込む日差しの量や角度も調整されていています。上のところを少し開けると小屋裏の空気が抜けるようになっていて、北側のほうから風が吹いて抜ける、とか、建物全体に対して空気がどのように回るかというようなことを考えています。住宅なのに、空気をどうやって流通させるかというシステムが入っているんです。

いやあ一回すごしてみたいな。快適性は、やはり住んでみないとわからないですからね。東北出身の私からすると、やはり、寒さや雪に対する考え方はどうなんだろうと住宅においてはまず考えてしまいますが、京都の夏はほんと暑いと聞きますからね。快適なのでしょう。

他にも建築家は、建物のみならず、それに付随するあらゆるものをトータルにデザインしています。

障子などの紙を使う採光の方法を用いた作りつけの家具、そして椅子、テーブル、照明器具など。丁寧に細かいところまでデザインしているなあ。当時の大工さんとの関係性を深く感じることのできるディテールですね。

「真に日本の気候や風土にあった日本人に適した住宅」として設計された住宅。そこには日本人が追い求めた美意識とモダンがありました!

建築:聴竹居

設計:藤井厚二

建築作品を見た雑誌:住宅建築20051月号p10-48)、聴竹居 藤井厚二の木造モダニズム建築(著:松隈章、平凡社)

建築がある場所:京都府

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