横浜港大さん橋国際客船ターミナル~連続する床壁天井!~

この建築を知ったのはコンペ案でした。はじめてこの提案内容をみたときはどきどきしましたね!

1995年に実施されたこの建築の国際コンペは、世界に大きな衝撃を与えました。コンペに当選したのはアレハンドロ・ザエラ・ポロ氏が31歳、ファーシッド・ムサヴィ氏が28歳という当時全く無名の若手建築家でした。その提案は、各階を階段ではなく緩やかなスロープで繋ぎ、フロア内外の連続性を生みだした、当時では前例のないデザイン。従来の建物のように地面から一段ずつ水平に階層を重ね、床・壁・天井といった概念で建物が構成されるのではなく、波のような曲線面を用いることで、要素を連続した同一空間の一部としてとらえた設計となっています。桟橋っていうと普通は海に突き出ている細長~い人工のフラットな床という退屈で平凡なイメージをくつがえした提案といえます。この提案はコンピューターグラフィックソフトによってデザインされたもので、コンピュータなくしては成し得ないデザインのものでした。20年前ということを考えると先端いってたってことですよね!まあその当時の若い発想でないと提案しちゃえといけないでしょう!!

桟橋正面から傾斜を上りアプローチすると2階の出入国ロビー。1階は駐車場。屋上は屋上広場、送迎デッキとなっています。そんな建築の最大の特徴は、建物を包みこみ覆うように敷き詰められたウッドデッキの空間ですね。波打つようにうねうねっとしたデッキ空間は関係なくシームレスにつながっていきます。床か壁かよくわかりません!そこには丘ような場所ができたり、内部に吸い込まれるような小さな出入り口があったり、交差したり手摺がねじれていってもうなんかわかんない!でもこの動きがあることで、より波っぽさを表現できてるし、デッキ空間の動きにあっているような気がする。波のようであり、船の甲板のようでもありますね。建物内部は、柱のまったく無い大空間が広がります。魚の口のような入り口からのみこまれてはまだ出てくる。大きな魚の体内に飲み込まれたり、吐き出されたしてるような気持ちになります。まるで鯨に飲み込まれたピノキオのように!

建築家は日本の折り紙からヒントを得て構想したとのこと。その実現に向けては、高度な構造解析技術と造船の折板構造を基本システムとして構築し、検討を進めていきました。ターミナルの屋上や建物内のデッキ床は、全てブラジル産のイペ材という木材により仕上げられています。このイペ材、よく住宅などでもウッドデッキに用いられ、屋外での耐久性も高く、そして薬剤塗布による処理を必要としない優れものな木材です。潮風にも強く、そして水に沈むほどの高い材料密度があり、年月を経ても変形をおこしにくい硬い材料です。そう、木なのにとっても硬いんですよ!それであんなうねった空間をつくるんだから、これは現場の職人さんの苦労が垣間見えます。

今までの桟橋は船舶利用者だけが利用する場所だったわけですが、ここでは屋上を送迎デッキの用途以外にも市民に開放しています。送迎する人のほか、ジョギング、体操など運動する人、お散歩する人、潮風を受けながら家族と憩いの時間を過ごす人、デートする人などなど。それは訪れる人々の休息の場、公園としての居場所ができています。まさに水上公園みたいな建築ですね!

建築:横浜港大さん橋国際客船ターミナル

設計:foa

建築作品を見た雑誌:新建築20026月号

建築がある場所:横浜市

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