国立21世紀美術館~都市と人を線で捉える流動的な美術館~

さて、前回ブログとは反対に、今回は新国立競技場の設計の実現にいたらなかった建築家ザハ・ハディドの作品を紹介します。メディアでの国際コンペ開催時から注目していた私としてはこのような結果となってしまったことはとても残念に思います。個人的意見ですが、私としてはコンペで決まった以上、調整しながら日本の技術で彼女の作品を実現してほしかったと思います。

頭から話がそれてしまいました。では作品について進めます。イタリアのローマ中心部から離れている郊外にこのやたら動きのある建築は存在します。敷地の南北には道路があり、東西は兵舎が建っています。そのなかに突如登場するこの建築。規模も大きくて非常に目立つ壮大な形状。建築が完成したときは古いローマの町に衝撃を与えたことでしょう!そんな国立21世紀美術館(以下略称MAXXI)は21世紀の建築と美術を紹介することを目的とした美術館です。

外観はそのうねっとまわった先端がまるで大蛇の頭のようにとぐろをまいて頭をのせているかのようなキャンティレバー。そのうねっとした躍動感あふれる外観が内部動線とつながって、インパクトあるものすごい空間になっています。この形状は都市のコンテクストを線としてとらえ、建築を構成されているとのことです。外の既存の動線要素をとりこみながら、空間へと変換していったとのこと。その流れながら錯綜して交わる動線は、都市との相互関係や人の流れをつくる道筋としての空間をかたちにしようとした建築家の野心がみえます。

ニュートラルな20世紀が生み出したモダンな白のハコの美術館からの脱却を試みた提案ですが、その意図よりも表現がよりいっそう強く際立っているというのはこういうことなのだということがよくわかります。その大きく飛躍した設計意匠に我々は想像をこえたインパクトを受けるわけですね!

内観はこれがまた流動的なものとなって空間の中をうごめいています。これらがギャラリーへのアクセスにもなっていて、そのカーブは幾重にも複雑にからみあっています。入口部分は黒い階層として階段部分が不規則に重なって見える吹き抜けがあり、上階にあがる階段の延長線上の渡り廊下もすごいですね。すごいしか私も言ってないですね。。以後すごいは慎みます(笑)。

屋根が全面ストライプ状のトップライトになっていて、よりそのうねっとした流動的な形態をより印象的なものにしています。来館者はこのような黒色リボンのような複雑に絡み合った空中回廊を介して空間をさまよいます。受付の白の曲線を帯びたカウンターやベンチも未来的な印象を与えますね。ローマの街から一気にタイムスリップしたような気分になります!ローマの人々はこの建築の出現にどんな感想を抱いたのかとても気になりますね!!

ご存知な方もいらっしゃると思いますが、今年の春、残念なことに65才という若さで亡くなってしまった ザハ・ハディド。もっと彼女の生み出す作品を見たかった。ご冥福をお祈りするとともに、これからも彼女の残した建築が世界で愛され続けることを願っています。

建築:国立21世紀美術館

設計:ザハ・ハディド アーキテクツ

建築作品を見た雑誌:a+u 20109月号p208-235)

建築がある場所:イタリア、ローマ

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