北向傾斜住宅~北向の価値をみつめなおした恩恵~

この建築はそのなまえのとおり、北向きの斜面に建つ住宅です。

敷地が北向きでしかも斜面地、見るからに消極的要素が多そうな敷地をまずよく選んで購入しようとしたものですね。土地の単価が安くなるとはいえ、決断したまずお施主さんのそこの勇気がまたすばらしい!そしてもちろん建築家も、その今までかえりみることのなかった、北側斜面の可能性をよく建築として、それもしかも住宅の設計において見出したものだなと感動しました!!土地単価の安さを建築に費やして、建築家のあとはアイデアにかけてみようと思ってくれたのなら、それは建築家冥利につきますよね!!!

さてその解決法はいかに!

建築の構成は、建築ボリューム部分を人工地盤的に持ち上げて、その下の空間を半地下に埋め込んだプランニングとなっています。

当然、夏の暑い時季は、北側でしかも斜面なので、強い日射がさえぎられます。空気は傾斜に沿って自然に対流が起こって下から上へと空気が抜ける。空気が冷たい場所からあたたかい場所へと流れる、いわゆる「煙突効果」が起こっているというわけですね!冬季は太陽光が一日中傾斜に沿って傾いているので、室内に光が差し込み、あたたかい光が南側から空間に入ってきます。

斜面の上からの玄関アプローチとなるので、下階につれてプライバシーのある空間にしています。斜面を活用した、様々な床レベルが、視線の抜けを調整しながら、家族の気配を感じられる空間の関係性をつくりだしています。これが斜面に建築をつくるいいことですよね!北向きにもうけた大開口からは、安定した北側の光と、海抜100メートルの高台からは中国山地の山並みや瀬戸内海をながめることができますそうです。これは気持ちよさそう!周辺は自然林に囲まれている環境だし、よく考えられた建築がその土地に置かれただけでその土地環境がすばらしく感じてきました!

建築そのものが設備ではなく、自然の環境条件に対応してつくることが、その場所を尊重し、その価値観をきちんとみつけて、みつめることが大切なんだということが伝わる居住空間となっていると感じました。そうするとその土地のもつ恩恵がしっかりと住み手にかえってくるんですね!

建築:北向傾斜住宅

設計:三分一博志建築設計事務所

建築作品を見た雑誌:新建築住宅特集200311月号p32-39

建築がある場所:山口県

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